研究から得られた知見をもとに、フィリピン国家狂犬病対策委員会に政策提言

2022年3月1日

大分大学医学部微生物学講座(西園教室)は、フィリピン熱帯医学研究所と共に狂犬病に関するフィールド研究をルソン島中部ブラカン州で実施しています(SATREPS, JICA/AMED)。今回、研究から得られた知見をもとにフィリピン熱帯医学研究所がHealth Policy briefingを作成し、フィリピン狂犬病国家対策委員会に提出しました。

研究チームは、地域での犬の頭数が現状の推定数より多く、動物のワクチンが不足していることを明らかにしました。また、多くの住民は狂犬病自体は知っているが、正確な知識(狂犬病が感染症である)が欠けていることがわかりました。(Household survey on owned dog population and rabies knowledge in selected municipalities in Bulacan, Philippines:A cross-sectional study.PLoS Neglected Tropical Diseases, January 2022(注1)

これらの知見をフィリピンでの狂犬病対策に活用するため、フィリピン熱帯医学研究所はHealth Policy Brief(注2)を作成しました。

おもな提言は以下の3点になります。

1.犬の頭数推定方法とワクチン必要数計算方法の変更
2.ワンヘルスアプローチの推奨
3.狂犬病に対する正しい知識の普及

研究から得られた知見を政策に反映させるための働きかけは、社会への還元という点から大きな意義があります。今後もプロジェクトでは、フィリピンでの狂犬病制圧のため、政策に役に立つ研究に取り組んでいきます。

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Health Policy Brief. No1

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Health Policy Brief. No2

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フィールド調査実施風景(齊藤准教授)