リスペクトフルケア研修2回目のスーパービジョンをタンバクンダ州にて実施

2022年7月15日

2022年6月27日から7月2日にタンバクンダ州にて、リスペクトフルケア研修2回目(研修後6ヶ月目)のスーパービジョンを実施しました。本スーパービジョンの対象者は2021年10月にタンバクンダ州で開催した「リスペクトフルケア研修」を受講したタンバクンダ州で働く助産師58名です。本スーパービジョンは研修で学んだ知識が現場で実践出来ているかを評価し、必要な指導を加えることにより、研修内容の現場での定着を目指しています。また、スーパーバイザーとなる州医務局や保健区の職員が現場に出向くことで、現場とリスペクトフルケア実践における課題を共有し、その課題を解決するために、誰が何をしなくてはいけないか、考えることも目的としています。

州のスーパーバイザー10名が4グループに分かれ、日本の九州地方とほぼ同じ面積(42,364平方キロメートル)のタンバクンダ州全土を5日間かけてスーパービジョンを実施しました。母子保健局母新生児課の課員と一緒に、プロジェクトからは齋藤専門家(助産・看護教育)とナショナルスタッフ1名が参加しました。

初日に今年2月に実施した1回目(研修後3ヶ月目)のスーパービジョンの結果分析をスーパーバイザーと共有し、今回のスーパービジョンの実施方法の改善点や特に確認や指導の強化が必要な点を確認した後に、それぞれのグループが現場へ出発しました。対象者のうち74%となる43名のスーパービジョンを実施することができました。タンバクンダ保健センターのスーパービジョンでは生まれた新生児の蘇生が必要なケースがあり、スーパーバイザーもその場で蘇生に加わり、実践を通じて対象助産師に指導・フィードバックを行いました。州病院へ訪問時にはプロジェクトが昨年度供与したオートクレーブ(高圧蒸気滅菌器)がフル稼働で使われていることも確認できました。

最終日のまとめでは各グループが結果を発表し、いくつかの課題について議論しました。リスペクトフルケアが実践できていない要因として、施設の物品や電力の不足、研修後に入職した助産師を中心とした知識不足、等があげられました。また、助産師と妊産婦のコミュニケーションについて、過重労働もコミュケーションの阻害要因になっていること等、意見交換がされました。搬送について、多くの施設で搬送元へのフィードバックが不足していると判明し、事例登録や搬送用紙の徹底的な記入の必要性が再確認されました。

今後は2回のスーパービジョンを通じて特定された課題を州として解決していくための活動を母子保健局とプロジェクトがサポートしていきます。2022年秋には今回のスーパーバイザーチームを含めた母子保健関係者とリスペクトフルケア会合を開催し、リスペクトフルケア実践定着に向けた議論を行います。

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タンバクンダ州病院で分娩シミュレーションを行い、スーパーバイザーが評価している様子

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タンバクンダ保健センターで助産師が行う新生児診察をスーパーバイザーが評価している様子