ASEAN災害医療の能力強化に向けて-第1回研修を実施-

2017年5月26日

2017年5月22日~26日

ASEANでは、「One ASEAN, One Response」のビジョンを掲げ、地域で起きた災害に地域の力で対応する体制整備と能力強化に取り組んでいます。「ASEAN災害医療連携強化プロジェクト(ARCHプロジェクト)」は、その実現にも貢献する形で、ASEANの災害医療分野における地域連携メカニズムの構築に向けた調整力強化を目指しています。しかしASEAN10か国それぞれの災害リスクや準備状況、対応能力には大きな差があります。こうしたレベルの違う国々が協力し合い、補完し合っていくためには、各国が最低限同じラインに立つ必要があることから、ARCHプロジェクトでは、プロジェクト期間中、計4回の研修を行い、各国の能力強化を支援することとしています。

今回、タイのチェンマイにおいて、第1回となる研修を実施し、ASEAN加盟国の災害医療関係者約30名が参加しました。第1回研修の目的は、参加者が災害医療人材養成のための教育カリキュラム、災害医療チームの能力基準や資格・認証制度等について学び、自国の体制整備に生かすことです。

研修では、ベトナム、シンガポール、インドネシア、フィリピン、マレーシアの講師から、それらの国々で行われている災害医療教育や継続教育を先進事例として学びました。また、日本の災害医療教育、災害看護教育、災害時派遣医療チーム(Disaster Medical Assistance Team:DMAT)の役割や活動、その養成システムについて講義を行いました。

座学の他、“タイ・シム”という机上演習も行われました。これは災害時にどのように患者を治療・搬送するのか、様々な症例情報等が書かれた患者カードを用いて、シミュレーションするものです。

また、チェンマイ大学病院を訪問し、同院内の災害時の医療体制や平時の災害訓練について説明を受けたほか、救急科を視察しました。そして最終日は、今回の研修で得た知識をそれぞれの国でどう生かすか、国ごとに話し合った結果を発表しました。また、ASEANの災害医療人材育成において共通カリキュラムが必要か、各国で意見交換を行いました。

研修生からはそれぞれの国の状況を学べただけでなく、自国の強み、弱みを認識し、今後に生かすことができるだろうといった肯定的な意見が聞かれました。[J1]第2回の研修(2017年11月)では、国内災害に対応する医療チームが現場で円滑に活動を実施するためのチームの能力強化をテーマとする予定です。

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研修の様子

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グループワークの様子

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机上演習の様子

【画像】全体集合写真