第2回ASEAN専門職連携教育(Interprofessional Education:IPE)ワークショップ開催

2022年8月25日

医療専門職の人材不足や急速に進む高齢化に伴い、医療専門職同士の連携、その基盤となる専門職連携教育(Interprofessional education:IPE)の重要性が高まっており、アジア諸国の医療専門職卒前教育の現場においても、IPEはますますの発展が求められています。WHOは「医療専門職教育とトレーニングの変革とスケールアップ」(‘Transforming and Scaling up Health Professionals’ Education and Training’)のためのガイドラインを発行しており、その中で、IPEは医療専門職の質と連携の強化に効率的で有効な可能性があり、医療専門職教育機関はIPEの実施を推進すべきと提言しています。IPEを通して様々な医療専門職間の連携と協働を推進することはユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成及び強化するための効果的かつ効率的な手段の一つと言えます。

GLO+UHCプロジェクトは2022年7月25日、UHC推進に係る医療専門職教育におけるIPEの現状、重要性、今後の方向性等ついて意見交換することを目的に、第2回ASEAN専門職連携教育(Interprofessional Education:IPE)ワークショップを開催しました。ワークショップには、ASEANを中心に10か国から約130名の医療専門職教育の関係者が参加しました。

Journal of Interprofessional Care編集長のDr. Andreas Xyrichisからは、基調講演(その1)として、「Interprofessional Education: importance and trends」と題し、医療専門職の連携により、患者安全の改善、患者を含む関係者の満足度向上に繋がる点や、COVID-19流行後のIPEのさらなる重要性など、学術的な視点からIPEに関する最新のエビデンス等について講演が行われました。

WHO西太平洋事務所看護官の安西氏からは、基調講演(その2)として、「UHC達成のためのIPEへの期待」と題し、WHOが2010年に作成した『専門職連携教育および連携医療のための行動の枠組み』(Framework for action on interprofessional education & collaborative practice)の概略及び政策レベルでのIPEと連携医療の導入・強化の重要性について講演が行われました。

その後、国別プレゼンテーションに移り、日本とタイのIPE分野の専門家が、それぞれの国における現状と課題について共有しました。

日本の専門家からのプレゼンテーションでは、日本におけるIPEへの取組みの概要、IPE推進に係る日本政府の支援内容、医学部における導入状況等について説明が行われるとともに、有用で効果的なIPEプログラムとするための課題として、患者安全の視点、IPEプログラムに求められるコンピテンシー等が挙げられました。

タイの専門家からのプレゼンテーションでは、タイにおけるIPEの確立のための要素として、IPEのフレームワーク及びガイドラインの開発、IPEネットワークの強化、指導者の育成、地域間及び国際間の意見交換、予算の確保及び研究の推進等が挙げられました。さらに、パンデミック下におけるITツールを用いた新たなIPEの取り組みが紹介されるとともに、IPE評価ツールの開発、国内でのさらなる普及推進、周辺国との協働、IPEに関する国際会議の運営等の今後のステップが示されました。

以上を踏まえ、GLO+UHCプロジェクトチーフアドバイザーの司会により、医療専門職者の教育カリキュラムにIPEをどのように取り入れるべきか、というテーマでパネルディスカッションが行われました。IPE分野における過去5年間の進展、COVID-19によるIPEへの影響、IPEの今後の方向性等について、パネリスト達が活発な議論を交わすとともに、ワークショップ参加者らとの質疑応答も活発に行われました。

その後、ワークショップ参加者は、各国の状況に応じた医療専門職者の教育カリキュラムへIPEを取り入れる方法についてグループディスカッションを行い、課題と対応案についてまとめました。

GLO+UHCプロジェクトとタイNational Health Professional Education Foundation(NHPE)は、群馬大学多職種連携教育研究研修協力センター(WHO Collaborating Centre for Research and Training on Interprofessional Education)の支援のもと、IPEに関する活動を共同で進めていき、UHCのさらなる発展に寄与していきます。

本ワークショップ主催者:
・The National Health Professional Education Foundation(Thailand)
・Gunma University(WHO Collaborating Centre for Research and Training on Interprofessional Education)
・JICA GLO+UHC Phase 2.

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