ザンビア共和国MOReDeP ザンビアの食事事情

2020年7月20日

今回は、ザンビア共和国(以下ザンビア)の食事事情をご紹介します。

アフリカ大陸の主食は多様であり、エネルギーベースの消費量第1位を見ると、北部アフリカでは小麦、中部アフリカではキャッサバ、東部アフリカと南部アフリカではトウモロコシ、西部アフリカではコメとなっています。西部では1960年代までソルガムが最も多かったのですが、2011年にはコメが最大となっており、アフリカ大陸におけるコメの需要が高まっていることがわかります。

南部アフリカに位置するザンビアでは、トウモロコシを原料とした「シマ」が主食であり、これはケニアやタンザニアの「ウガリ」、ウガンダの「ポショ」、ジンバブエの「サザ」というように各国で呼び名が異なり、水加減など調理方法も異なります。また、タンザニアのようにトウモロコシとキャッサバを混ぜる文化もあります。ザンビアでは「シマ」と呼ばれており、水分を多く含んでふっくらしていることが特徴です。

シマの調理方法は、製粉したメイズ粉を沸かしたお湯または水で溶き煮立てます。ひと煮立ちさせた後に、好みの粘度に調整するためにメイズ粉を追加し、弱火で掻き混ぜます。ゆっくりと混ぜ熱を入れることで徐々に粘度が増します。15分程度火にかけ練り混ぜ、好みの粘土となったら完成となります。シマの味は基本的に飽きのこない無味で淡白、ゆるい餅のようにホワホワとした食感です。シマの副菜は、牛、鶏、ヤギなどの肉や、ティラピアなどの魚(ザンビアは内陸国のため主に淡水魚)を煮込んだもの、揚げ魚や煮豆、オクラ、南瓜の葉やアブラナ科の葉などの野菜を炒めたものをトマトスープと共に添えたものが一般的です。副菜が野菜だけの日も多いです。出来立てのシマはとても熱いですが、少し冷めたところから素手でちぎって食べます。ザンビア人は毎日シマを食べます。多様化した日本の食文化におけるコメよりも絶対的な存在です。

シマは家庭料理ですが、昨今、特に若者や都市部では手間のかかるシマだけではなく、多様な食事がとられるようになっています。スーパーマーケットでは、シマに加えパンやポテトフライなども販売されており、ハンバーガーチェーン等のレストランも増えてきています。
コメもシマ同様に主食として食べられるようになってきました。日本のようにコメを煮炊きして、上記の副菜等と一緒に食べます。現地ではシマに塩を加えたり、振りかけたりすることは非常識とされていますが、炊飯時に塩や少量の油を加えることは一般化されており、ザンビア人がシマを調理する際の基準は、日本人が白米を炊く際のものと似ていると言えます。ザンビア人にコメについて聞くと、炊飯はシマのように練り混ぜる工程がないため、調理の観点から利便性があるとのこと。これが、都市部でコメが受け入れられる理由の一つになっているようです。

このようにザンビアの食文化は伝統的な食事に加えて時代の変化と共に、食事も多様化しています。プロジェクトでは、ザンビアにおけるコメ導入の利点を探求し、コメ振興の一翼になれるように努めていきたいと思います。

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主食のシマ(左下)、副菜のTボーンステーキとトマトソース

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副菜の豊富なシマプレート、お肉はヤギです。

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シマのテイクアウト、お肉は牛の足です。

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主食がコメのプレート、コメはニンジンとの炊き込みご飯になっています。