ザンビア共和国MOReDePプロジェクト紹介Vol.3-クラスター形成型普及

2022年1月5日

市場志向型稲作振興プロジェクト(MOReDeP:Market Oriented Rice Development project)は「稲作の振興」を通じた「農家の所得向上」を目的として様々な活動を行っています。今回は、プロジェクト活動の二つ目の柱である「クラスター形成型普及」を紹介します。

プロジェクト活動2:クラスター形成型普及

前回のプロジェクト活動紹介では、稲作の生産性を向上させるための「環境に適した技術の研究開発」についてお話ししましたが、開発された技術は農家によって実践されなければ意味がありません。また、ザンビアの米の生産量を増やすためには、生産性を向上することだけではなく、稲作農家を増やすこと(そして米の耕作面積を増やすこと)も重要です。そのため、既存の稲作農家に加えて、新たに稲作を始める農家に対して、研修や普及員からの指導などを通して、前回紹介した技術パッケージ(Good Rice Practice(GRiP))を普及する活動をザンビア農業省とともに行っています。

技術の普及にあたって、本プロジェクトでは「クラスター形成型普及」というアプローチをとっています。技術を普及することだけを目的とするのではなく、新たなコメ産地「稲作クラスター」の形成を目指すものです。これまでの活動では、農家への技術普及活動に加えて、新規クラスターの形成を見据え、既存の稲作クラスターからその形成要因を抽出し、それを新規のクラスター候補に活用できるよう、様々な調査も行ってきました。ザンビアの場合、クラスター形成要因が環境要因(水・道路・精米所)だけだったため、別の調査からの結果も踏まえて、栽培技術などを普及する以外にも、「農家間の情報共有や共同出荷等は技術や販売価格向上に有効である」、「農家をサポートする普及員育成が重要である」といった仮説を立て、それらを各クラスターの環境に合わせて補うようにしています。クラスターとは農家の集まりだけを示すものではなく、コメを中心として形成されたビジネス経済圏を指します。そのため、精米所や仲買人など購買先からのニーズや取引条件についても調査し、これらの情報を農業省職員や農家へ共有するとともに、技術普及などの研修を組み立てる際に役立てています。稲作農家だけではなく、稲作ビジネスに関わるすべての人が恩恵を受けられるような絵を描き、それに向けて進めていくことがクラスターの形成やその拡大に繋がるのではないかと思っています。

【画像】

Mwense郡・Katuta campの稲作農家

【画像】

農家研修の様子