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産業レポート2015.02.01

農業機械の導入が始まったバングラデシュ 第2回

地域:全国

テーマ:農業/農村開発

カテゴリ:技術・デザイン

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写真: 普及が始まったインド製のトラクター

バングラデシュにおける農業機械の導入は、まだ始まったばかりである。JICAバングラデシュ事務所の調査によれば、全国の農家4000万人対し、農業機械の普及率は1%に過ぎない。しかし、統計にはまだ現れていないところで、普及の勢いは早まっているようである。

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現状を詳しく知るべく、バングラデシュ国内の大手販売ディーラーを訪問し、事業開発担当の取締役の方に話を伺った。同社は2007年に現地資本で設立され、現在は20億円を超える年商を誇り、年々売上は増大しているという。耕耘機は中国、コンバインは韓国、トラクターはインド、稲刈り機はフィリピンから輸入し、農家に割賦販売する。全国に販売拠点を8カ所展開し、立派なショールームも併設する。

同社の試算によれば、現在全国で年間約600億円の潜在需要があるという。同社の主力商品は耕耘機で累積販売台数は2万8千台。ディーゼルエンジンは8万機、トラクターは5000台をこれまで販売してきた。韓国製のコンバインも2010年から70台を販売しているが、値段は120万タカ(約170万円)でも農家は積極的に購入しているという。

本記事の前半の冒頭に紹介した稲刈り機も同社の製品で、値段は12万タカ(約17万円)。この稲刈り機の場合、政府が販売価格の30%を助成し、農家は50%の頭金と残金を半年間の分割払いで支払う。

購入しているのは、必ずしも富農ではなく、農作業の請負事業をしている地元のサービス・プロバイダーだ。機械化により、人件費を大幅に抑え、請負面積も広げることができるので、短期間の内に機械への投資を回収できるそうだ。

同社は、利用者へのアフターサービスにも力を入れている。農作機械の利用方法をきちんとトレーニングし、マニュアルを用意し、定期的に購入者の健康診断のサービスまで行っているという。一つの農業機械を購入する農家は、他の農業機械や肥料・農薬も購入する可能性が高く、そういった顧客のロイヤルティを確保するための努力は、十分に採算に合うのだろう。

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写真: ショールームで販売されるトラクター

日本でも高度経済成長期に農村部の労働力が第二次産業、第三次産業に流出し、農村部による労働減を機械化で補うようになる。昭和28年の「農業機械化促進法」の制定を契機に、昭和20年代後半から30年代にかけて、農業機械の導入が急速に進んだ。昭和28年の日本での耕耘機の普及台数は、わずか3.5万台程度だったが、7年後の昭和35年には52万台、昭和40年には300万台にまで達したという(一般社団法人 農業機械工業会のホームページより)。同時に、それまでの牛馬を利用した農耕作業が日本の村々から消えていった。バングラデシュは、今、当時の日本と同じ道を辿ろうとしている。

農業機械に対する日本への期待は、ここでも高い。今後、バングラデシュでも農業に関わるあらゆる作業に機械化の波が押し寄せることが予想される中、日本の企業も参入できるような市場に育つことが期待される。

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