2015年8月の活動
1.今月の主な活動と今後の予定
(1)アロチャ・マングル県での活動
1)当初対象3コミューンでの活動(対象期間:2015年7月1日〜31日)
第2フェーズでは、当初対象3コミューンで植林、改良カマド、ライチ栽培に関する研修を行いません。それにもかかわらず、エリアマネージャーによる住民活動のモニタリングの結果、これまで研修に出られなかった住民から研修を望む声が、多くの地域で聞かれています。プロジェクトからの投入を段階的に無くしていくエグジット段階におけるモニタリングでは、こうしたニーズを持つ住民に対して、すでに研修を受けた住民が技術や知見を伝達することを促進することが重要です。こうした機能をモニタリングに組み込むため、8月中旬に再委託先の2つのNGOと議論しました。その結果、改良カマド技術の既習得者に無償で研修を実施してもらうための交渉方法など、モニタリングで観察された好事例をエリアマネージャーを通して他地域に紹介していくことが重要との結論に至りました。好事例の他地域への紹介は、9月初旬よりエリアマネージャーによる直接モニタリングの中で試行していきます。
2)新対象2コミューンでの活動(対象期間:2015年7月1日〜31日)
ライチ取り木技術と改良カマド・シャルボンブザカ(草本を材料として作製する丸形の炭)に関する住民向けの研修が実施されました。両テーマの研修は、2コミューンを合わせて90回開催され、延べ約1,200人の住民が参加しました。住民活動のモニタリングについては、当初対象3コミューンと同様、好事例の他地域への展開をエリアマネージャーによる直接モニタリングで試行していきます。
第2フェーズより活動を開始するカテゴリ3(注)の地域への展開戦略に関するNGOの内部会議が、7月上旬に行われました。その結果、最初のステップである啓発活動を効率的に実施するため、エリアマネージャーが現地に泊まり込みで業務に当たるなど、具体的な活動計画を策定しました。後述のインパクト調査との兼ね合いで、啓発活動の開始が遅れているが、8月下旬には開始できる見込みです。
(注)アクセスの容易さの順に、対象地域を1,2,3のカテゴリーに分類している。第1フェーズではアクセスが比較的容易なカテゴリー1と2の地域のみで活動を展開してきた。
3)簡易インパクト調査の進捗(対象期間:2015年8月1日〜31日)
i)植林地踏査
8月31日現在、傾斜地植林を実践した世帯のうち、当初対象コミューンで69世帯の52か所、新規対象コミューンで32世帯の28か所の植林地を踏査しました。これらのデータを集計し、質問票調査で得られた植林本数に関する回答の補正を行います。詳細は9月報にて報告します。
ii)ケーススタディ(ラバカ安定化)
プロジェクトによる研修後の住民によるラバカ対策活動の現状を把握すべく、ラバカサイトの踏査を8月後半より開始しました。当初対象コミューンでは全38か所のうち30か所を、新規対象コミューンでは全18か所を踏査する予定です。ラバカに関するケーススタディは9月半ばに終了する予定であるため、詳細は9月報にて報告します。
iii)ケーススタディ(稚魚生産・養殖)
昨シーズン稚魚生産に取り組んだアンパシケリーコミューンの1か所、ムララノクロムコミューンの3か所、合計4か所の稚魚生産農家を対象にケーススタディを実施しました。その結果、PRADAIRE関係の稚魚生産者が生産したロイヤルカープの稚魚は、研修講師のE氏が生産した20,000尾を含め、122,320尾でした。このうち販売されたものは、一部成長した若魚を含めて51,520尾であり、販売額は13,550,000Ar.でした(表1)。
表1 昨シーズンの稚魚生産尾数と販売数・額
稚魚生産者名 | コミューン | 稚魚生産数(尾) | 稚魚販売数(尾) | 稚魚販売額(Ar) |
---|---|---|---|---|
A(研修農家) | アンパシケリ | 100,000 | 31,300 | 9,260,000 |
B(研修農家) | ムララノクロム | 2,000 | 0 | 0 |
C(研修農家) | ムララノクロム | 320 | 220 | 290,000 |
D(研修農家) | ムララノクロム | 0 | 0 | 0 |
E(研修講師) | ムララノクロム | 20,000 | 20,000 | 4,000,000 |
合計 | 122,320 | 51,520 | 13,550,000 |
(2)ブングラバ県での活動(対象期間:7月下旬〜8月下旬)
前月から引き続き、住民向けの改良カマド・シャルボンブザカの研修が実施されました。また、植林研修ではリソースパーソンの選定を経て、一部のフクタンで植林講師育成研修(TOT)が開始されました。
ブングラバ県では、研修単位ごとの住民数が大きく異なるため、研修参加者に対する技術普及の効率性を考え、住民向け研修1回あたりの参加者数が30人程度となるよう、現場での調整を行うこととしました。対象地域の全ての住民に研修の機会を届けるため、研修単位に含まれる住民の人数に応じて研修回数を調整できる権限を現場のコーディネーターに付与することとしました。
8月下旬から9月下旬にかけて、ブングラバ県農業局(DRDA)、同森林局(DREEF)、農業開発普及員(CDR)向けのラバカ対策研修の実施、住民向け改良カマド・シャルボンブザカ研修と植林TOT研修の継続、住民向け植林研修の開始、野火対策研修の啓発活動が予定されています。
(3)中央での活動(対象期間:8月1日〜31日)
プロジェクトの広報活動の一環として、8月5日から9日まで農業見本市(FIER MADA)でブース出展を行いました。同ブースでは、改良カマドやライチの苗木の販売を行うとともに、ラバカ対策の効果を説明するために作製したミニチュアを展示し、来訪者の関心を引きました。特に現大統領や省庁関連の要人にプロジェクトを紹介できたことは、プロジェクト終了後を見据えたPRODAIREの普及モデルの売り込みとして、一定の成果を得ました。
2.2015年9月の専門家の離着任予定
9月19日 三浦専門家着任
9月30日 北窓専門家離任
3.活動写真集
モニタリング戦略に関するNGOとの議論の様子(アロチャマングル県アンバトンドラザカ)
植林地踏査の様子(アロチャマングル県アンディラナトビコミューン)
住民によるラバカの維持管理活動に関するケーススタディの様子(アロチャマングル県ムララノクロムコミューン)
養殖・稚魚生産農家に対するケーススタディの様子(アロチャマングル県ムララノクロムコミューン)
農業見本市にてミニチュアを用いてラバカ対策の説明をするエリアマネージャー(アンタナナリボ)
農業局・森林局コーディネーターと農業開発普及員によるモニタリングの様子(ブングラバ県)