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【国別活動|ニカラグア】メキシコ土砂災害20周年記念イベントにおいて、BOSAIフェーズ2日本人専門家が基調講演を行いました

2019年10月4日に、メキシコのプエブラ(Puebla)州テチウトラン(Teziutlan)市において、同市で1999年に発生した土砂災害の20周年記念イベントが開催され、BOSAIフェーズ2の日本人専門家が基調講演を行い、405名のメキシコ人参加者に対して日本の防災経験とBOSAIフェーズ2の成果が共有されました。

テチウトラン(Teziutlan)市では1999年に長雨による影響で土砂災害が発生し、110名もの尊い命が犠牲となりました。その教訓を後世に語り継ぐべく、メキシコ国立防災センター(CENAPRED)が中心となって20周年記念イベントを実施することになりました。CENAPREDは、1985年のメキシコ地震を契機として、同国の防災能力向上のためにJICAがその設立に協力した機関であり、その設立後も耐震プロジェクトなど様々な技術協力を実施してきました。「防災と言えば日本」とばかりに、今回もCENAPREDからJICAへ相談があり、中米地域で実施中のBOSAIフェーズ2の経験と成果が共有されることになりました。

講演では日本の防災経験と教訓が共有されましたが、特に「自助・共助・公助」という言葉に代表されるように、防災において行政と住民が協力することが、地域の防災力の強化であり安全に繋がるという日本の防災知見は、メキシコ人参加者に共感を与えました。

また土砂災害が対象ということもあり、パナマやホンジュラスで実践してきた土砂災害避難対策を中米の優良事例として紹介しました。土砂災害は様々な発生要因があり、またいつどこで発生するのかを予測することが難しい災害です。しかしその発生前には多くの予兆現象が見られることが知られており、住民が予兆現象を確認して避難に活かす自主避難体制作りを共有しました。行政による警戒警報体制も重要ですが、住民も自ら主体的に地域の様子を観測することで複合的な観測体制を構築することができます。これも「自助・共助・公助」の一つの形です。

一方で防災の教訓のひとつとして、正常化の偏見(リスク等の不都合な情報の過小評価)などにより、「人は本来備えられない、或いは逃げられない」生き物であるという人間の心理特性も共有しました。「災害は忘れた頃にやってくる」という格言は日本人なら誰しも一度は耳にしたことがあるはずですが、これは換言すると「人は忘却を常とし、だからこそ過去の災害を忘れ、同じ過ちを繰り返す」ということになります。こうした人間の心理特性を踏まえた上で、同じ過ちを繰り返さないための処方箋としてニカラグアの津波防災の事例を紹介しました。

災害とは辛い経験です。特に家族を亡くしているのならば、その記憶を早く忘れることが平穏な生活に戻る最善の策です。1992年に発生したニカラグア津波では170名の犠牲者が出ましたが、辛い経験であるが故に住民が津波について語る機会はほとんどありませんでした。こうした住民の気持ちに寄り添いつつも、日本では「災害は忘れた頃にやってくる」と言われるように、津波経験世代がその記憶を忘却することで災害経験の伝承が途絶え、新しい世代が犠牲になる環境を作ってしまっているという経験を伝え、子供や孫世代のために何ができるかを住民と考えました。その結果として、ニカラグアのサリーナスグランデス地区では9年連続で津波防災祭りを開催するに至っています。その原動力は、親が子供を思う心、地域を思う心です。このように「大切な人を守りたい」「地域に貢献したい」という人々が生来持っている思いや目的を防災と繋げることで、コミュニティ防災の推進を図ることができることを伝えました。

日本の防災経験を踏まえた「自助・共助・公助」の考え方、中米の土砂災害避難対策事例、忘却を前提としたニカラグアの津波防災事例の紹介を終え、基調講演は大きな拍手とともに終了しました。また、その後のインタビューでも多くのメディアや参加者に囲まれるほどの盛況でした。

BOSAIフェーズ2では中米域内での防災優良事例の共有を推進していますが、同地域での優良事例はそのままメキシコをはじめとした他のラテンアメリカ地域にも適用可能な優良事例となるため、様々な機会を見つけてラテンアメリカ地域にも中米の優良事例を発信していくことを目指します。

作成:川東 英治(長期専門家)

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テチウトラン(Teziutlan)市土砂災害20周年記念イベント開会式

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会場の参加者の様子

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日本人専門家による発表の様子

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講演後の日本人専門家へのインタビュー