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ARMM地方自治体能力強化支援(1)

ARMM自治政府と地方自治体は複雑な関係にあります。1991年に制定された地方自治法(Local Government Code)には、中央政府から地方自治体への権限委譲が明確に示されています。ところがARMM自治政府の自治を規定するムスリム・ミンダナオ自治法(MMAA25)では、領域内の地方自治体への分権について詳細な記載が不十分であるため、ARMM自治政府と地方自治体の権限範囲について解釈があいまいになっており、本来地方自治体が実施すべきである農業、保健医療、環境天然資源、社会福祉分野における各種事業を、ARMM自治政府自らが運営している状況です。地方自治体の機能が良好であるかどうかの監督も、ARMM自治政府に委ねられています。

一方、フィリピンでは地方自治体への内国歳入割当金(Internal Revenue Allotment;IRA)は、中央政府から各地方自治体(州、市町村)に直接提供されています。ARMM域内の自治体も同様で、中央政府からIRAが配分されています。「自治政府」であれば本来、まず中央政府から域内の自治体のためのIRAを含めて自治政府に配分され、その後改めて域内の地方自治体に対して配布されることが想定されますが、ARMM自治政府にはその権限が認められていません。そのため、地方自治体が実施する公共事業や観光事業などに対する、ARMM自治政府による自治体への監督が十分行き届いていないのが現状です。

このような状況の中でも、多くのドナーが地方自治体へのガバナンス支援を行ってきました。それぞれ一定の成果を収めてきましたが、課題もまだ多く残っています。JICAは2016年5月、ARMM内務自治省とともに、ARMM域内の地方自治体を対象に行政機能の調査を行い、人事、地方議会、法令、計画策定、財務、会計、調達、特別委員会など行政分野の一般課題を分析しました。関係省庁、人事院、財務省、会計監査院から専門人材を招聘し、ARMM域内の地方自治体の課題を各機関が設定する規則に基づいて解説し、自治体のあるべき姿について講義を行いました。地方行政に関する基本的な規則の周知不徹底、縁故主義での職員採用、会計書類の不備や遅れ、地方議会の法令制定能力不足、計画策定能力の不足など多岐にわたる課題が出されました。

これらの結果に基づき、行政機能改善のための活動計画を各自治体が作成しました。 ARMM内務自治省が各計画案を分析した結果をもとに、地方自治体支援を開始しています。

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