プロジェクト進捗報告

2017年10月

1.廃電気電子製品等のリサイクル推進(8〜9月訪日研修)

中国では2012年に「廃旧電器電子産品回収処理管理条例」が施行され、テレビ・エアコン・冷蔵庫・洗濯機・パソコンのリサイクルが進められており、昨年には対象品目にプリンター・携帯電話など小型家電製品が追加されました。

一見順調な中国の廃電気電子製品のリサイクルですが、日本の家電リサイクル法制度と異なり製造業者による回収などの物理的責任が無く、拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility:EPR)の強化の必要性や対象品目(電気自動車の電池等)の拡充、リサイクル率の向上など課題が山積しています。

本プロジェクトでは8〜9月に10名の中央及び地方の廃棄物担当職員らが訪日し、環境省や地方政府の職員、大学の研究者などから日本の家電及び小型家電リサイクルに関する政策や研究、事業活動などの説明を受けるとともに、秋田県・富山県・愛知県のリサイクル企業を訪問し、現場視察などを行いました。訪日により得られた知見は、検討中の「廃旧電器電子産品回収処理管理条例」の制度改正などに反映されるとともに、更なる日本の経験の共有に向けて活動を進めて行く予定です。

2.日本の環境対策の経験(9月セミナー開催)

日中友好環境保全センター(以下、環保センター)は、研究活動や政策立案により中国における環境対策の推進を行う組織であると共に、日本及び中国の環境協力を推進するプラットフォームでもあります。このため、本プロジェクトでも環境分野での日中交流のため学生・研究者・企業等の訪問の受入れや情報提供、セミナーの開催などの活動を展開しています。

9月22日には環保センターにて、笹川平和財団と社会科学文献出版社により『日本環境問題:改善と経験』(2017年9月刊行)の出版を記念して「日中環境問題比較研究シンポジウム」が開催されました。セミナーでは一般財団法人日本環境衛生センター理事長で元環境省事務次官の南川秀樹氏、中国社会科学院城市発展与環境研究所所長の潘家華氏による基調講演、共催者であるJICA及び環保センターによる挨拶、日本の執筆者や中国の研究者による発表、質疑応答などが行われ、研究者・学生やメディアなど約100名が参加しました。

今後も環境分野の日中関係者らによる交流の機会を提供するとともに、日中の環境政策情報を提供するWEBの整備なども行っていく予定です。

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廃電気電子製品リサイクル 訪問先での交流の様子

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訪問先での視察

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訪問先での視察

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日中環境問題比較研究シンポジウムの様子

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『日本環境問題:改善と経験』