チリ・カトリカ大学工学部で、日本人専門家による第3回セミナーが行われました。
KIZUNAプロジェクトの一環として今年度から実施している、チリ・カトリカ大学工学部構造地盤工学科修士コースでの第3回セミナーが10月3日から7日までの3日間、サンチアゴ市内の同大学で開かれ、約50人が参加しました。北海道大学名誉教授の緑川光正専門家が、建物の耐震性を向上させるために近年急速に普及が進んでいる免震構造や制振構造について、その基礎的仕組みから適用事例、振動台を用いた実験の様子、さらに今後の課題などについて紹介しました。特に、東日本大震災や熊本地震で免震建物がどのような挙動を示したかをデータを用いて示し、多くの参加者の関心を引いていました。
また期間中、緑川専門家と同大学教授陣とのアカデミック・ミーティングも設けられ、ラ・ジェラ工学部長が、チリ国内の病院建物や石油タンク、港湾などの工業施設への免震、制振装置の導入状況について紹介するなど、お互いの学術交流を深めました。
本修士コースでは、KIZUNAプロジェクトのカウンターパートであるチリ国際協力開発庁(AGCID)が中南米カリブ諸国の学生5人に対して奨学金を支給する一方、JICAは建築研究所などから短期専門家を派遣して耐震工学に関するセミナーを年3回開催し、耐震工学分野の最新の知見をチリと中南米カリブ諸国に広く普及することを目指しています。
(文・写真、武田和代)
緑川専門家の来学について述べたチリ・カトリカ大学工学部のホームページ。
チリ・カトリカ大学で開かれた第3回セミナー。
チリ・カトリカ大学の建物地下に設置された免震装置を見学する緑川専門家。