第2回「公共インフラの技術力強化(橋梁の耐震工学)」研修が終わりました。
KIZUNAプロジェクトの一環として9月26日から始まった第2回「公共インフラの技術力強化(橋梁の耐震工学)」研修の閉講式が10月13日、研修実施機関のチリ公共事業省で行われました。本研修には、ベネズエラやコロンビア、キューバなどチリも含む13カ国から行政官やエンジニアら23人が参加し、橋梁の地震被害と耐震設計に関する知識を深めるとともに、各国の経験について共有し、災害に強いインフラづくりに取り組むための専門家の“絆”を深めました。
研修員らは3週間弱にわたり、地震学や橋梁工学などのテーマについて、チリ公共事業省やチリ・カトリカ大学の講師らによる講義を受け、さらに同大学の実験室やサンチアゴ市近郊の橋梁現場などを視察し、リスク管理について見識を深めました。また、日本から派遣された国立研究開発法人土木研究所の運上茂樹・耐震総括研究監と九州工業大学の幸左賢二教授が、日本の耐震基準や地震後の点検・補修の手順、東日本大震災や熊本地震における橋梁被害などについて講義し、研修員から多くの質問を受けていました。
一方、研修中には、2010年のマウレ地震(マグニチュード8.8)以降、土木研究所などの支援を得ながら、チリ公共事業省に対して技術協力を行ってきた「橋梁耐震設計基準改定」を報告する普及セミナーも開かれ、チリの基準に日本の方式が一部導入されたことが報告されました。同セミナーには研修員のほか、チリ国内でインフラ設計にあたる技術者や研究者など約80人が参加。JICAの社会基盤・平和構築部の中村明部長が橋梁のアセットマネジメントの重要性について基調講演したほか、幸左教授が阪神淡路大震災で倒壊した橋梁の復旧の道のりについて述べました。
(文・写真 武田和代)
日本の橋梁の耐震基準などについて講義する運上専門家(中央)と幸左教授。
サンチアゴ市近辺の橋梁を視察する研修員たち。