「港湾の業務継続計画(BCP)」研修を実施しました。
KIZUNAプロジェクトの一環として、チリ・バルパライソ大学とともに実施した第1回「港湾の業務継続計画(BCP)」研修がこのほど、6カ国12人の研修員の参加を得て、無事に終了しました。
本研修は、2011年度から2015年度にかけて、日本とチリの研究者の間で実施された地球規模課題対応国際科学技術協力プログラム(SATPREPS)「津波に強い地域づくり技術の向上に関する研究」の成果を、本プロジェクトを通じて、中南米カリブ諸国にも普及することを目指しています。港湾BCPは、大地震などの自然災害が発生しても、港湾の重要機能が最低限維持できるよう、災害発生後に行う具体的な対応と、平時に行うマネジメント活動などを示した文書のことで、日本国内では国交省などによって、主要な港湾での策定が推進されています。
研修では、京都大学防災研究所の小野憲司教授と、チリの研究パートナーであったバルパライソ大学の教授陣らが、SATREPS事業で開発した港湾BCP策定に関するガイドラインをもとに、メキシコやペルーなどの研修員にBCP作成のための方法論や具体的手法について、講義やワークショップなどを通じて紹介しました。また研修員らは、銅鉱石の積み出しや石炭の輸入などを行っているキンテロ湾周辺の港湾運営現場を見学し、環境対策と地域コミュニティとの共存、津波リスクへの備えなどについて学びました。
小野教授は、10月26日から28日にかけて、港湾都市のサン・アントニオ市で開催された「港湾運営国際セミナー(SIOP)」でも基調講演し、災害時において大容量輸送を可能にする港湾ロジの重要性について話しました。また同セミナーでは、昨年末の国連総会で制定された11月5日の「世界津波の日」の紹介ビデオも流されました。(文・写真、武田和代)
港湾運営国際セミナーでの小野教授の講演を紹介するチリ港湾関係者のホームページ。
チリのキンテロ湾周辺の港湾を見学する研修員たち(小野教授提供)。
港湾運営国際セミナーで基調講演する小野教授。