チリ・カトリカ大工学部修士コースで2017年度セミナーが行われました。
プロジェクトの一環として昨年度から始まった、チリ・カトリカ大学工学部構造地盤工学科修士コースでの今年度第1回目セミナーが7月4日から6日までの3日間、同大学で開催され、約30人が参加しました。日本から派遣された国土交通省国土技術政策総合研究所の小山信専門家が、長周期地震動と超高層建築物の設計基準に関する日本の状況について講義し、さらに、2016年4月に起きた熊本地震による建造物の被害調査報告を紹介しました。一方、チリ側からも、外部講師として高層建築分野において経験豊富なレネ・ラゴス氏が、サンチアゴにある高さ300メートルのコスタネラセンターをはじめとする南米、中東、中国で手掛けた高層建築物の設計プロジェクトや、設計建築に係る課題等について話しました。
チリ・カトリカ大学のクリスチャン・レデズマ教授は「長周期地震動は新しいテーマであり、チリ国内でも今後、高層建築物の建設が進み、特に地盤が軟弱なチリ南部では大きな被害も予想されるため、日本で実際に得られた地震動のデータや建物被害に関する知見を共有してもらうことは重要」と話していました。
本修士コースでは、チリ国際協力開発庁(AGCID)が中南米カリブ諸国の学生5人に奨学金を支給、JICAは耐震工学を専門とする短期専門家を派遣して年間を通じてセミナーを開催し、同分野における知識と技術の普及を目指しています。(文・写真、武田和代)
小山専門家とチリ・カトリカ大学の関係者。
チリ・カトリカ大学で講義を行う小山専門家。