看護師インターンシッププログラムの枠組みを検討するブレーンストーミング会合を開催しました。
当プロジェクトで期待されている成果の一つとして、「看護師免許フルライセンス取得の要件として看護師のインターンシッププログラムが実施される」という目標が掲げられています。しかし、現時点では、ラオスでのそのプログラム、つまり新卒看護師の臨床研修が、看護師の免許制度の一環として、どういったレベルの内容、規模、実施体制、枠組みで実施されるべきかの基本的な構想が明確になっていません。
また新卒看護師の臨床研修を看護師の免許取得の義務条件として、インターンシップ制度化して実施している国は他に例を見ず、日本も含めて多くの国の看護師は、国家試験などに合格し、看護師免許を取得した後に、教育現場から臨床現場への移行期に、看護実践能力を高めながら専門職としての第一歩を踏むことを目的に、病院施設などで働きながら卒後の研修を受けています。
よってプログラムの実施に向けてはその目的や、ラオスにおいてフルライセンス取得者がどのような能力を備えているべきかなどを明確にしていくとともに、免許取得を目指す者がきちんとそのプログラムを受ける体制があるのか、などの臨床現場の実態把握をし、その上で、質の高い医療人材の育成と現実的な実施体制のバランスを見計らった枠組みづくり、基本構想を練ることが求められています。
1月29日に開催した今回の会合は、行政機関や病院施設などの関係者を集め、その枠組みづくり、構想を練る最初の段階として、ブレーンストーミングをすることを目的としました。始めにラオスの臨床現場の人材育成の課題の共有や、高島専門家から日本における新卒看護師研修の枠組みや日本や海外の看護継続教育の仕組みの紹介をしました。その後、カウンターパート機関と同専門家によって作成した議論ポイントに沿ってグループワークによって、アイデア出しの議論を行いました。
主な議論ポイントは、インターンシップ実施目的、研修内容や合格基準の設定、制度設計時や実施時の責任の所在、役割分担、研修実施体制、フルライセンス取得者としての評価基準およびその評価方法、指導者基準、実施時の予算分配、モニタリングシステム、受講者の身分などです。
今回の会合の成果としては、上述したような背景を関係者と共有した上で、今後のコンセプトノート策定に向けて必要となるアイデアを出し合い、また留意点を確認できたことです。引き続き実態把握とこのような議論を重ね、ラオスにあった看護師免許の一環としての臨床研修の概要などを固めていく予定です。
保健人材カウンシル代表(元保健大臣)、保健人材カウンシル事務局、保健人材カウンシル看護助産・医師・歯科医師委員会、治療リハビリテーション局、教育局、人事局、保健科学大学、中央病院(5病院)及び臨床研修を実施する教育病院(3病院)の計50名の参加者がありました。
松原チーフアドバイザーからの開催挨拶(左)、プロジェクトダイレクター代理(保健省治療リハビリテーション副局長)(中央)、保健人材カウンシル代表(元保健大臣)(右)
ラオス保健科学大学 医学部長からの医師のインターンシッププログラムの紹介
高島専門家によるプレゼンテーション
高島専門家によるプレゼンテーション
参加者らによるグループディスカッションの光景
参加者らによるグループディスカッションの光景
保健人材カウンシル看護助産委員長によるグループディスカッション後のまとめ