RSUP Dr.M.Djamil病院においてリトル・ベビー・ハンドブック・オリエンテーション開催

2023年6月15日~16日、当プロジェクトCenter of Excellences (COEs)のひとつの州である西スマトラ州のパダン市にあるRSUP Dr.M.Djamil病院(以下、国立ジャミル病院)にて、リトル・ベビー・ハンドブック(LBH)のオリエンテーションを開催しました。国立ジャミル病院は保健省が国の高次医療機関として指定している14病院のひとつであり、他地域の病院からも患者が紹介されてくる病院(クラスA)と位置付けられています。

このオリエンテーションの目的のひとつは、医療従事者の知識と技術を向上させ、LBHを使うことで、小さな赤ちゃん(早産児、低出生体重児)や母親及び保護者に対するケアの質を向上させることにあります。このオリエンテーションで学んだ知識や技術を、委嘱された医療従事者の代表がチーム全体に普及させ、小さな赤ちゃんのための看護サービスですぐにLBH活動が実施できるようになることが期待されています。これに加え、病院の新生児集中治療室(NICU)及び小児外来や、州や市の保健局、地域の保健センター(Puskesmas)、村における医療施設及び保健医療従事者(医師、助産師、看護師、栄養士)間の連携を図り、継続ケアを強化することも狙いとしています。

オリエンテーションには、NICU病棟、周産期棟、小児外来、救急棟等から、15~17人の医療従事者、看護師、助産師、医師が参加しました。各病棟、外来から、小さな赤ちゃんのケアに直接携わる3~4人の医療従事者が参加しました。また、病院と地域との連携のために、西スマトラ州とパダン市保健局もこの活動に参加しました。

運営サービス・ディレクター代理であるアスラワティ医師は、冒頭の挨拶で、国立ジャミル病院は、毎月20~22人の小さな赤ちゃんが出生/搬送されることから、将来的に小さな赤ちゃんへのサービスやケアにLBHをすぐに利用できるよう、LBH活動をすぐに実施する用意があると述べました。また、小さな赤ちゃんへのサービス提供においてLBHをすぐに利用できるようにすることがいかに重要であるかを強調しました。

当プロジェクト、国立ジャミル病院チーム及び西スマトラ州衛生局が共同で今回の国立病院LBHオリエンテーションを準備しました。国立ジャミル病院のエニー小児科医が主導し、講師チームにて、小さな赤ちゃんのリスクとケアの重要性、修正月齢の計算方法とフェントン曲線の使用方法、成長と発育の評価、小さな赤ちゃんの身体検査とスクリーニング、小さな赤ちゃんの危険な徴候、風習(誤った言い伝え)、母親や介護者のサポート方法等、さらにケアをよりよく効率的に行うためのLBHの使用方法など、小さな赤ちゃんのケアについて説明すると同時に、カンガルー・マザー・ケア(KMC)やベビーマッサージ等の実演・実習が行われ学びを深めました。LBHだけではなく母子健康手帳併用活用の必要性とマネジメントに関する重要性についても確認しました。

このオリエンテーション活動の実施状況を評価するため、参加者にオリエンテーション前後に小テストに回答してもらいました。事前テストでは、LBHの記入方法(正解1名/回答者15名)及びLBW児のDPT接種時期(正解1名/回答者15名)において理解度の低さが見られました。事前テストの平均点が56.25%であったのに対し、事後テストでは87.5%と大幅に向上しました。

病院とパダン市保健局からの参加者には、オリエンテーション終盤で行動計画(PoA)を発表してもらいました。また、国立ジャミル病院でのLBH実施に関するオリエンテーションの後、プロジェクトでは今後もフォローアップを実施する予定です。

▲前列左から:アスラワティ医師(ジャミル病院運営サービス・ディレクター代理)、ユニ・アンドラ氏(西スマトラ州保健局公衆衛生局長)、戸田朱美母子保健専門家、エニー・ヤントリ小児科医師、髙橋理恵プロジェクトコーディネーター。

▲前列左から:アスラワティ医師(ジャミル病院運営サービス・ディレクター代理)、
ユニ・アンドラ氏(西スマトラ州保健局公衆衛生局長)、戸田朱美母子保健専門家、エニー・ヤントリ小児科医師、
髙橋理恵プロジェクトコーディネーター。

▲エニー小児科医師による、小さな赤ちゃんのリスクとケアの重要性に関する発表。

▲エニー小児科医師による、小さな赤ちゃんのリスクとケアの重要性に関する発表。

▲修正月齢の計算とフェントン曲線のプロットの練習。

▲修正月齢の計算とフェントン曲線のプロットの練習。

LBHオリエンテーション参加者によるベビーマッサージ実習 。 (NICU看護師)

LBHオリエンテーション参加者によるベビーマッサージ実習 。
(NICU看護師)

前列左から:戸田朱美専門家、エニー小児科医師、パダン市保健局からの参加者。 薄桃色のLBHとピンク色の母子健康手帳(前列右から二番目)を手にして記念撮影。

前列左から:戸田朱美専門家、エニー小児科医師、パダン市保健局からの参加者。
薄桃色のLBHとピンク色の母子健康手帳(前列右から二番目)を手にして記念撮影。