3名の短期専門家による国立生物医学研究所(INRB)の強化
8月19日から3週間にわたり、三木短期専門家(株式会社池下BIM設備)の指導のもとINRB新棟の実験施設と機材の整備運営能力の強化に取り組みました。そして1週間後の8月27日に鈴木・坂井短期専門家(国立感染症研究所)が加わり、2週間にわたりINRB新棟実験室のバイオセキュリティ・バイオセーフティの強化を手掛けました。
高度な研究ができるBSL3実験室を備えたINRB新棟は、2020年に日本が供与して以来、INRB職員が運営管理に努めていたものの、複雑なシステムや設備の整備、不慣れな機器の保守点検や修理などが、課題として挙げられていました。また2024年5~6月の日本での技術研修で得た学びをINRBで実践かつ共有する支援が求められていました。そこで、三木短期専門家がINRBの施設、設備、機材、電気などを整備する技士計10名に対して実地研修を開催しました。両扉式オートクレーブの点検とフィルター交換、オートクレーブ用加熱器の清掃、排水滅菌システムの点検と清掃、CO2配管の点検と修理、換気システムと温調システムの作動確認、実験室の燻蒸、安全キャビネットの燻蒸などの日々を送りました。参加した技士は、メモを取ったり、画像・動画を撮ったり、実際に試したりすることで、多くの知識や技術を学びました。
バイオセキュリティ・バイオセーフティの強化支援は、2023年11月以来2回目でした。昨年からの主な変化として、BSL3実験室を安全に使うための数々の手順書や記入用紙、器具などが用意され、実験室の入室から退出までの各部屋で求められる服装や行動、検体や廃棄物の扱い方、機器の操作法、滅菌の仕方、各種用紙の記入法などが明確になりました。これらの手順や規定について、9月3日にBSL3強化作業班がINRB研究者計14名に対して、実際に実験室内を案内しながら説明し研修しました。翌9月4日にはBSL3実験室周辺を担当する清掃員2名に対して、範囲、用具の収納場所、清掃方法などについて、研修しました。
加えて特筆すべきは、BSL3実験室運営委員会の設立です。国立感染症研究所の組織構成を参考にBSL3実験室運営委員会の位置づけと役割を明確にしました。そして8月30日に第1回運営委員会を開催しました。今後この運営委員会が、BSL3実験室の運営管理、安全性、研究事業などに関して助言できるため、バイオセキュリティ・バイオセーフティが更に高まります。
研修の最終日となった9月5日に、今年の6月に日本で立てた活動計画の進捗について、BSL3強化作業班、技士、日本人専門家の間で確認しました。結果として、7~9月に実施予定だった活動の大半が、完了または着手されていることが認められました。
閉めの言葉として、BSL3実験室強化作業班であるINRB研究者が語りました。
「千里の道も一歩から。まだ先は長いですが、このたび短期専門家が支援してくれたことで、一歩どころか何歩も前に進むことができました。ありがとうございました。」
8月21日 三木専門家によるCO2配管システム整備後の点検方法の指導
8月28日 BSL3実験室強化作業班による鈴木・坂井専門家への実験室利用手順の説明
8月30日 第1回BSL3実験室運営委員会
9月2日 三木先生と技士による空調システムのHEPAフィルターの点検
9月3日 「実験室のホルムアルデヒド燻蒸⇒アンモニア中和」後のアンモニア濃度測定
9月3日 BSL3実験室利用者の研修(オートクレーブの使い方)
9月4日 BSL3実験室周辺を担当する清掃員の研修
9月5日 焼却炉の掃除と点検
9月5日 最終日の記念撮影:実験施設・機材の整備運営研修の修了証を誇らしく見せる技士