ZIM-SHEPプロジェクトニュースvol.26「北マタベレランド州および南マタベレランド州での市場調査の実施(2024年10月)」
2024年の7月と8月に北マタベレランド州、南マタベレランド州の対象6灌漑スキームの農家のそれぞれの代表者8名が市場調査を実施しました。市場調査の活動は寄宿学校やスーパーマーケット、地域の公設市場などで行われました。こうした販売先は、灌漑スキームに買い付けに訪れる仲介業者と比べて収益性が高く、地元の販売先の利用可能性に気づいていなかった農家にとって目からうろこの経験でした。
市場調査では、プロジェクトが作成した調査票をもとに農家と普及員が園芸作物に求められる品質、量、出荷頻度、支払い手段、支払期日などの情報を販売先候補から収集しました。また、種子、肥料、農薬などを販売する農業資材屋ではどのような資材が売られているのかについて聞き取りを行い、さらに農家グループで購入することによる特典(配達無料、割引、展示圃場の設置など)についても聞き取りました。
実際の市場調査に先立ち、農家は市場調査を効果的に行うために模擬演習を行いました。模擬演習を通して、市場調査で想定されるやり取りを経験し、調査票の内容に慣れ親しむことにより、調査当日には円滑に調査を実施することができるようになります。
市場調査の活動に参加した農家は、これらの活動をとても良いものだと実感でき、次のようなコメントがありました。
「市場調査は、マーケティングに対する自分の思い込みに気づかせてくれました。私は、商品が良ければ買い手がつきやすいと思っていました。しかし、種類、量、継続した出荷など、他の要素も重要だということがわかりました。」
「収益性の高い園芸農業を行うためには、(園芸作物を販売する際に少数の買い手の限られた取引量に販売量が左右されてしまうといった)市場リスクを分散するために多くの買い手を探す必要性があることに気がつきました。」
「この調査票を活用すれば、高齢者や若者で市場調査をしたことが無い人でも市場調査ができることを実感しました。」
農家たちは、本プロジェクトで支援された市場調査の後、自分たちでも市場調査を実施します。また、市場調査に参加した農家の代表は、販路候補から仕入れた情報を灌漑事業地のほかの農家に共有し、どの作物をグループとして作るのか選び、作物栽培販売グループを作ります。各グループは栽培カレンダーを作り、グループとして計画的な生産・販売を目指します。
次に計画されている活動は、市場調査の結果をもとに作物を選び、組織した作物グループでの活動や、作成された栽培カレンダー等の状況を確認するモニタリングです。
公設市場で聞き取りをする農家 (1)
公設市場で聞き取りをする農家 (2)
公設市場で聞き取りをする農家 (3)
寄宿学校で野菜の調達について聞き取りをする農家
スーパーマーケットの販売担当者から野菜の調達について聞き取りをする農家
資材業者から聞き取りをする農家