76.Monthlyハイライト(2023年8月)

MaWaSU2短期専門家派遣最後となる濱野直樹専門家(水道技術/施工監理)と川又由仁専門家(水質)がそれぞれ8月2日、8月15日に着任しました。約1.5ヵ月間の滞在期間に濱野専門家はOutput2パイロットプロジェクト、川又専門家はOutput4水質を担当します。

8月の主なプロジェクト活動は以下のとおりです。

a. Output1:

都県水道戦略のドラフト提出は7月末で一旦締切になりました。最終的に10県のDPWTから提出があり、未提出の8都県は催促したものの、まだ策定中や回答がない状況です。ラオスでは業務が属人的になることが多く、また担当者の異動の際に引継ぎがほとんど行われないなどの課題もあり、これまでに動きが良かった県でも、最近人事異動があった県からは提出がありませんでした。来月から始まる都県戦略策定のフォローアップでは、全県を訪問することはできませんが、可能な限り多くの県を訪問し、それぞれの県の特性や進捗状況を考慮して支援ができるように取り組んでいきたいと考えています。都県戦略の策定は、DPWTとしてはほとんど経験のない業務です。今回はDPWTの都県戦略策定の体制づくりや個人の能力強化、DPWTの業務の明確化を中心とし、あまり高みを求めすぎないように、また将来的なことも考慮しながら、MaWaSU3の活動に繋げられるように進めていきたいと考えております。

b. Output2:

8月2日に着任した濱野専門家がPPTT(Pilot Project Task Team)とともに、パイロットプロジェクト第2バッチ・サイニャブリー県とポンサリー県を巡回しました。両県ともに管路布設工事はほぼ完了しており、給水が開始されている区域もありました。しかしながら、設計変更に伴う仮設管の交換やバルブ設置などの工事が残っています。ラオスでは短時間の断水だから問題ないとのことで、日本とは異なった認識で戸惑うこともあります。設置された水道メーターを確認したところ、雨季で湧水や井戸水が利用可能ということもありメーターの数値がゼロや一桁でした。このような事情もあり断水に対する態度が寛容なのかも知れません。
今回の巡回訪問が最終回と見込まれることから、PPTTからパイロットプロジェクト完了に向けた①工事完成検査書と②パイロットプロジェクト完了報告書について説明がありました。事前にOJTで認識合わせをしたため、分かりやすい説明を両県にしていたのが印象的です。また、濱野専門家からは7月に承認された技術基準のうち管路布設・給水部分を抜粋し、パイロットプロジェクトで布設した管路、設置した給水装置について照合するプレゼンテーションもありました。

c. Output3:技術基準全国説明会の準備

10月に全国の水道関係者に対する技術基準説明会、11月に実務担当者を対象にした技術基準説明会の開催に向けて、DWS及び3パイロット水道公社のSTTメンバーとともに、OJTを実施しました。10月の説明会ではDWSが中心となり、行政機関の役割として主に技術基準の施行、技術基準の目的、活用方法、各章の要点について周知する予定です。11月の説明会はMini-Workshop方式とし、北部・中部・南部にわかれて開催する予定です。約300ページにのぼる基準のため、各章の要点を絞りわかりやすく説明できる教材づくりを心掛けて、DWSと水道公社が連携しながら活動を実施しています。

d. Output4:水道協会、パイロット水道公社とのOJT

MaWaSU2終了時評価の結果を水道協会及びパイロット水道公社と共有し、残りプロジェクト期間中に実施する活動をリマインドしました。
水道協会では、分科会等の活動を水道協会の活動としてシフトするため、技術運営委員会及び水質・施工監理に関する部会を立ち上げました。9月に開催する全国水道公社の水質管理状況の把握・薬剤購入先リスト作成等をテーマにした水質部会、Output2成果のガイドラインの研修を行なう施工監理部会の準備を進めています。
また、次期プロジェクトに向けて、各C/Pが抱えている課題について意見交換をしました。無収水対策に必要なデータ管理、未収率向上に向けた取組みなど課題認識があることが確認できました。今後は協会活動の一環として、様々なテーマを検討する体制構築をMaWaSU2期間中にできる限り進めていく予定です。

e. JICA筑波海外教師研修受け入れ

8月10日にチナイモ浄水場でJICA筑波センターによる海外教師研修団を受け入れました。海外教師研修はJICAの国内機関が主催する研修で、今回は茨城県と栃木県の小・中学校の教師8名が8月6日~15日にラオスを訪問しました。各地域のJICA事業を訪問する中で水道分野は8月10日午後の枠をいただきました。首都ビエンチャン水道公社からは日本による支援の歴史を含むチナイモ浄水場の説明があり、MaWaSU2からはラオス水道セクターの現状と歴史およびMaWaSU2の概要を紹介しました。締め括りにチナイモ浄水場を見学しました。教師らからは、日本で小・中学校の浄水場見学を行う際は、生徒の安全に配慮しているため説明を十分に聞くことができないが、今回は専門家による浄水工程の解説を直接聞くことができたので理解が深まった、チナイモ浄水場は(生徒など外部者の視察を想定していないこともあり)柵がなく日本より浄水工程が間近で見ることができたなどの感想がありました。教師らは日本に帰国後、この経験を地元の小・中学校における国際協力の理解促進に役立てられる予定です。

f. MaWaSU3 R/D署名式

8月22日にMaWaSU2の後継案件であるMaWaSU3の討議議事録(R/D: Record of Discussions)の署名式が行われました。JICA技術協力プロジェクトのR/Dはラオス政府とJICAとの合意文書であり、MaWaSU3実施の根拠文書になります。今後、2024年2月開始を目指して専門家派遣準備が行われます。MaWaSU3では①法令執行・モニタリング・管理に係る能力強化(DWS)、②水道施設整備計画を策定するための各都県公共事業運輸局(DPWT)及び水道公社間の連携体制構築、③水道人材育成のための持続可能なプログラムの体系化を中心に活動を行う予定です。

g. ラオス代表団第5回アジア地域上水道事業幹部フォーラム出席

MaWaSU2のカウンターパート4名がラオス代表として8月22日~25日に横浜市で開催された第5回アジア地域上水道事業幹部フォーラムに出席しました。このフォーラムは、約4年に一度、アジア地域(主に南アジアとASEAN諸国)の水道行政・事業体幹部クラスが集まり、各国の取り組みや共通の課題について意見交換をする場です。今回はDWSから Khamphouvong水道衛生規制課長、首都ビエンチャン水道公社Siphanh副総裁/ラオス水道協会・管理委員長、ルアンパバーン県水道公社Laddaルアンパバーン市上水道拡張計画プロジェクト・プロジェクト実施ユニット長、カムアン県水道公社Khampasith計画課長がラオス代表として参加し、Siphanh副総裁がLWWAの活動紹介、Laddaプロジェクト実施ユニット長がルアンパバーン県水道公社のCorporate Plan作成と水道料金改定についてプレゼンテーションを行いました。また、4名が協力してラオス国のAction Planを作成しKhamphouvong課長が代表で報告しました。

サイニャブリー県で管路布設現場を訪問する濱野専門家(右から2人目)

サイニャブリー県で管路布設現場を訪問する濱野専門家(右から2人目)

サイニャブリー県DPWT・水道公社へプロジェクト完了の報告書を説明するPPTTメンバー

サイニャブリー県DPWT・水道公社へプロジェクト完了の報告書を説明するPPTTメンバー

ポンサリー県水道公社へアドバイスをする濱野専門家(右)

ポンサリー県水道公社へアドバイスをする濱野専門家(右)

ポンサリー県で給水装置を確認するPPTTメンバー

ポンサリー県で給水装置を確認するPPTTメンバー

技術基準の説明会準備会議の様子

技術基準の説明会準備会議の様子

水質検査機器のメンテナンス方法を助言する川又専門家(右)

水質検査機器のメンテナンス方法を助言する川又専門家(右)

JICA筑波海外教師研修団がチナイモ浄水場を訪問

JICA筑波海外教師研修団がチナイモ浄水場を訪問

チナイモ浄水場を見学する先生方

チナイモ浄水場を見学する先生方

MaWaSU3 R/D署名式

MaWaSU3 R/D署名式

第5回アジア地域上水道事業幹部フォーラム・ラオス参加者

第5回アジア地域上水道事業幹部フォーラム・ラオス参加者

ルアンパバーン県水道公社のCorporate Plan・水道料金改定を報告するLaddaプロジェクト実施ユニット長

ルアンパバーン県水道公社のCorporate Plan・水道料金改定を報告するLaddaプロジェクト実施ユニット長

LWWAの活動紹介をするSiphanh副総裁

LWWAの活動紹介をするSiphanh副総裁

ラオス国のAction Planを報告するKhamphouvong課長(中央右)

ラオス国のAction Planを報告するKhamphouvong課長(中央右)

グループディスカッションで発言するKhampasith課長(中央右)

グループディスカッションで発言するKhampasith課長(中央右)