79.Monthlyハイライト(2023年11月)

MaWaSU2活動の実質的な最後の月となりました。5年7か月間のまとめとなるMaWaSU2クロージングセミナーや技術基準の全国説明会を開催しました。12月は各活動の最後の会合や報告書作成、報告会を経て専門家チームは19日にラオスを出国し、日本に到着する12月20日にMaWaSU2が終了します。

11月の主なプロジェクト活動は以下のとおりです。

a. MaWaSU2クロージングセミナー開催

11月23日、24日の2日間、首都ビエンチャンにてMaWaSU2クロージングセミナーを開催しました。報告会にはDWS、全国のDPWT、水道公社のほか、日本からもJICA及び4水道事業体が参加しました。報告会ではMaWaSU2における5年7か月間の活動内容と得られた成果が報告され、ラオス水道セクターが今後実施すべき方針について共有されました。2024年2月から開始予定の次期プロジェクトであるMaWaSU3にバトンをつなげ、さらなる能力向上によりラオス国の水道が発展することを確信しています。

b. OIDS/PDCDS最終化に向けた取り組み

OIDS/PDCDS作成をDWSと取り組んでおります。こちらは局長承認が得られるよう終了時評価で提言されているものの一つになります。DWSでは法令等の整備については順調に進められていますが、制定後の周知や遵守、管理モニタリングが不十分であることや施設整備に関して課題を残しています。これら課題や対応策についてまとめていきます。

c. WSSDF既存基金ヒアリング

11月16日中小企業振興基金に基金組織の立ち上げやその後の運営に関わる課題について、ヒアリング調査を実施しました。この基金は銀行等の金融機関を通じて、ラオス国内に法人登録されている中小企業に対し融資を行っているものです。運用開始から13年近くがたっており、ラオス内にある基金の中では比較的うまく進められている組織です。調査では、検討開始から運用開始まで10年近くかかっていることや法令整備の重要性、運営後も組織の人材育成に予算を費やしていること等の情報を得ましたので水道基金計画の参考にしたいと思います。既存基金ヒアリングはあと2組織の調査を予定しております。

d. Output2:新型コロナウイルス対策関連事業・カムアン県訪問

新型コロナウイルス対策として実施したカムアン県の管路拡張工事が大詰めを迎え、進捗確認のために11月14日にカムアン県水道公社を訪問しました。配管工事は全て完了し、残された部分はDMA用配水量メーター設置4箇所になります。予定より施工に時間を要した理由として、雨期での施工、DPWT協議による道路工事の規制、配管仕様の不具合などが挙げられました。これらが教訓となり、今後の工期算定や工程管理に活かせることを期待しています。また、カムアン県水道公社カンブイ副総裁から今回のプロジェクトを通じて、直営工事であったことによる水道公社職員の能力向上、重機供与による工事費の削減、水道公社が自力でできたことによるDPWT等の県行政からの信頼性の向上が大きな成果であったとコメントがありました。特に県行政からの信頼を得たことにより、県内ノンボック郡の水道整備も水道公社が担うことになりました。MaWaSU3ではDPWTと水道公社が連携して水道開発する関係構築もテーマとしており、施設を維持管理する水道公社が計画・設計・施工に携わる事例として、全国のお手本となることを期待しています。

e. Output3:技術基準の印刷製本完了

技術基準の最終化作業について、DWSとPMM(プロジェクトマネジメントミーティング)を通じて7月の大臣決裁後4か月ほど調整し、度重なる最終化作業を経てようやく印刷製本されました。技術基準はプロジェクト期間の約5年半をかけてようやく完成した約300ページにのぼる成果になります。

f. Output3:技術基準全国オンライン説明会の開催

11月29日、30日に首都ビエンチェンにて技術基準の全国オンライン説明会を開催しました。講師はSTT(Standard Task Team)メンバーが担い、全国のDPWT及び水道公社の技術職員を対象に実施しました。各章のポイントのほかに、専門家が見てきたラオスの水道施設の現状から、ダムの水道水源としての活用、水位変動に対応した取水方法、施設能力に応じた浄水場の一般的な仕様、ヘーゼンウィリアム公式を用いた口径選定、管路の維持管理を考慮した施設設計、現状のラオスにおける最適な給水装置の設置などについて意見交換しました。
全てを詳細に解説する時間がないため、継続的な研修プログラムなど、水道協会を通じて活動が継続される仕組みづくりが必要と考えています。今回の説明会はその第一歩として、作成された技術基準が水道技術者の教科書として日頃から活用されることにより施設の品質向上ができると考えています。

g. Output4:ラオス水道協会(LWWA)技術委員会準備会の開催

11月2日にLWWA技術委員会準備会を開催しました。技術委員会は部会の運営管理を行う役割で、NPNL(首都ビエンチャン水道公社)、NPLP(ルアンパバーン県水道公社)、NPKM(カムアン県水道公社)、NP-BKX(ボリカムサイ県水道公社)の技術担当副総裁で構成されています。水質及び施工監理部会の今年の活動を部会長から報告を受け、成果や次年度の活動について意見交換がなされました。また、LWWA事務局からは次年度の活動スケジュールと次年度に向けて事業委員会の設立と他テーマの部会の設立をし、MaWaSU3の活動を円滑にできる体制づくりをすすめる方針について報告されました。技術委員会及びLWWA事務局と意見交換し、プロジェクトの目標が理解されて、目標達成に皆で向かっていくC/Pの姿勢を実感しました。

画像

a-1 MaWaSU2クロージングセミナー集合写真

画像

a-2 MaWaSU2クロージングセミナー集合写真

画像

c-1 中小企業振興基金との協議

画像

d-1 カムアン県水道公社による新型コロナウイルス対策特別枠の様子(報告より抜粋)

画像

d-2 カムアン県水道公社による新型コロナウイルス対策特別枠の様子(報告より抜粋)

画像

d-3 カムアン県水道公社による新型コロナウイルス対策特別枠の様子(報告より抜粋)

画像

e-1 製本された技術基準

画像

f-1 技術基準全国オンライン説明会集合写真

画像

g-1 LWWA技術委員会準備会の集合写真