【ザンビア】プロジェクト最後のJCCミーティング/エボラ・マールブルグ迅速診断キットを供与しました!
2024年7月25日、カウンターパートや関係省庁・機関の代表が一堂に会し、プロジェクトの達成事項と今後の課題・展望を確認する第5回Joint Coordination Committeeミーティング(以下、JCC)をザンビアで開催しました。本プロジェクトではこれが最後のJCCとなりました。
プロジェクト目標の達成度を説明する髙田礼人チーフアドバイザー。全ての項目を高いレベルで達成し、プロジェクトがザンビアのウイルス性人獣共通感染症対策に大きく貢献したことを示しました。プロジェクト期間中には、コロナ禍など不測の事態もありましたが、パンデミックはむしろカウンターパート機関であるザンビア大学獣医学部の診断能力・対応力を飛躍的に高める機会となり、プロジェクトの目標達成に貢献しました。
カウンターパートであるザンビア大学獣医学部のDr. Changula(注1)は、プロジェクトが行ってきたコウモリ研究の結果を発表しました。Dr. Changulaは、当プロジェクトがザンビアで初めてエジプトルーセットオオコウモリからマールブルグウイルス(注2)を検出したこと、まだヒトの感染例が報告されていないザンビアでもマールブルグウイルスが存在しておりヒトへの感染リスクが十分にあること、そしてその対策を打つ必要性があることを訴えました。
注1:最近准教授への昇進が決まったDr. Changula。プロジェクトは、その活動で成果を上げてきた若手研究者のキャリアアップにも一役買ってきました。
注2:マールブルグウイルスはエボラウイルスと構造が近似しており、これらはいずれも致死率22~90%という重篤な疾患をヒトに引き起こします。近年特に、アフリカ各地でマールブルグ病のアウトブレイクが続いています。
また、プロジェクト活動の一環として北海道大学・髙田チーフがデンカ株式会社と共同開発し、2021年に日本国内でも製造販売の承認を受けたエボラウイルス病抗原迅速診断キット(製品名: QuickNavi™-Ebola)とその姉妹品であるマールブルグ病抗原迅速診断キットを、保健省下の専門機関であるザンビア国立公衆衛生研究所(Zambia National Public Health Institute、 以下ZNPHI)に供与しました。本キットは常温でも2年以上保管可能、全血で10分間で判定可能といった優れた特性を有しており、電気や特別な装置がないアフリカの地方部でも使用することができます。今後、ザンビア国内でこれを配備し、エボラウイルス病やマールブルグ病の疑い例が発生した際に、迅速に診断と対策を行い、感染拡大を防ぐことが期待されています。
ZNPHI所長のDr. Chilengiは、キット供与に対する深い感謝を表明するとともに、ザンビア国内での使用開始およびそのためのSOP(標準作業手順書)整備に強い意欲を示しました。
JCCの最後では、コンゴ民主共和国(以下、コンゴ民)側カウンターパートである国立生物医学研究所(INRB)のMuyembe所長からもオンラインで力強いメッセージをいただくことができ、最後のJCCにふさわしい国際色豊かな会議となりました。今後もプロジェクトで築かれたザンビア・コンゴ民間の研究ネットワークが持続・強化されていくことを願います。
本プロジェクトは、ザンビアおよびコンゴ民のウイルス性人獣共通感染症の研究能力・診断能力向上に大きく貢献し、2024年9月をもって成功のうちに終了することができました。日本人メンバー一同、ご尽力いただいた多くの関係者の皆様に心より御礼申し上げます。両国のカウンターパートおよび相手国政府が、この成果を活かし、自国およびアフリカ地域の感染症対策を発展させていってくれることを心から願っています。
ありがとうございました!!
こちらでも、プロジェクト活動をご紹介しています。是非ご覧ください!