第1回技術研修を実施しました
2023年6月25日から7月8日までの14日間にわたって第1回技術研修を実施し、パプアニューギニア国(以下「パ国」)公共事業省(DoWH)のシビルエンジニア3名と同省建設機材課(PTS)のメカニック3名の計6名の職員が研修員として参加しました。
- 今回の技術研修は、以下の4点を主な目標として設定しました。
- 1.「パ国」に供与された建設機械のメーカーでの技術的な知見知識の習得
- 2.建設機械メーカーとの連絡体制構築
- 3.日本の未舗装道路の道路維持管理システムや道路付帯構造物の知見知識習得
- 4.未舗装道路における省力化施工の知見知識の習得
研修は、JICA専門家や、外部の講師による講義と工場や現場の視察を中心に行われました。外部研修に先立って、JICA専門家による「日本の厳しい自然状況における道路維持管理状況」「日本国内の道路整備事業における発注方法や維持管理システム」等の講習を行いました。
その後、未舗装道路における軟弱地盤対策工として、京都大学大学院工学研究科 木村教授による「Dou-Nou(土のう)工法を用いたコミュニティ道路の開発」(株)メトリー技術研究所による「D-Boxを使用した軟弱地盤対策工」を受講し、D-Box工法にの実地製作を行いました。
現場視察では、酒井重工業(株)、日立建機(株)、(株)コマツの粟津工場及びテクノトレーニングセンター、並びに石川県で建設機械のレンタル及び機材整備委託事業を行っている(株)コマツ石川の全施設の視察を通じて建設機械の技術的な知見知識を一層深めました。また対面による質疑応答が活発に行われ、メーカー側も「パ国」における現地代理店のサービスレベルについて現状把握がなされました。
参加した研修生は、今後メール等を通じてメーカーの担当者と相談できるよう、今回技術研修を通じて体制を構築しました。特筆するのは、(株)コマツ石川が、国土交通省からの委託事業として、同省が保有するモーターグレーダーの定期維持管理の作業状況を直接、視察出来たことです。研修生の所属するPTSの保有機材を整備、及び統括する立場である研修生は、作業場の環境や各ステップにおける確認作業の仕組みについて、自らが目標とする具体的な姿が身近に感じられたとともに、「確認作業に使用している書類を参考に帰国後職場での改善に努めること」が研修生代表から宣言されました。
また、未舗装道路の道路付帯施設の知見知識を学ぶため、兵庫県林道笠形線の視察を行い、道路維持管理体制、及びのり面対策工、並びに自然災害に対する復旧対策に関する事例を学びました。「パ国」においても地震や豪雨などによる自然災害が多いことから、研修員は興味を持って兵庫県農林水産部林務課の担当者と質疑応答を行いました。
研修の最終段階では、研修員同士で討議を行った後、この技術研修で習得した講義や視察の内容を評価分析した上で、「パ国」においての道路維持管理活動、及び建設機械の稼働にかかる改善点について、JICA担当者も参加する中で発表しました。プレゼンテーションの最後には、「帰国後、日本で学んだことを同僚や部下に共有し、今後、パプアニューギニアの道路維持管理活動における品質が改善されたところを次回、専門家が渡航した際に見てもらいたい」、という心強いコメントが披露されました。
技術研修の評価会では「非常に有意義な研修であった」、「期間が短くもっと日本から学びたいと思った」、「日本の工場や林道現場といった研修だけでなく、今回の滞在で日本の文化を感じることができた」といった声があがり、研修員一同は、講師や視察の受け入れ先に感謝の意を述べ、各講師及び受け入れ先の各社宛てに感謝のメッセージカード(関連リンク参照)を作成し、今回の技術研修は終了となりました。
本研修の講師の方々、受入をしていただいたメーカー及び自治体の皆様、また研修開催をご支援いただきました皆様には、この場を借りて御礼申し上げます。誠にありがとうございました。
JICA専門家による講義
酒井重工業社工場視察
兵庫県笠形線(林道)視察
京都大学木村教授による講義(土のう工法)
プレゼンテーションの様子
修了式記念撮影