ヘルスワーカー対象の母子健康手帳を使った母子栄養サービス強化研修完了!(2023年3月)

プロジェクト活動の中核となる母子保健看護師や一般看護師、栄養士など母子栄養サービスの担い手となる保健従事者を対象とし、母子健康手帳を使った母子栄養サービス強化研修をカスケード方式で中央レベルから順番に保健施設レベルへと落としていきました。最初は、2023年1月30日から3日間、保健省の関係3課(栄養、母子保健、コミュニティヘルス)の技官を対象とした講師養成研修を実施しました。これまで研修プログラムや研修教材を協働で作成してきた保健省関係3課代表技官6名に2名を加えた合計8名が、研修プログラムに沿って初めから終わりまで、ファシリテーションを交代しながら実践訓練を行いました。これら中央レベルの研修講師によって、2月13日から16日にはニアッサ州、2月28日から3月3日にはガザ州にて州と郡レベルの講師養成研修を実施。ベースライン調査のオリエンテーションも1日組み込み、合計4日間の研修で、州レベル17人と郡レベル20人の講師が養成されました。
これら州・郡レベルの講師によって3月6日から24日の期間にパイロット4郡でのカスケード研修と対照郡へのベースライン調査のオリエンテーションを集中的に実施しました。保健従事者は各保健施設最低2名を研修対象者としましたが、2名同時に参加すると保健施設でのサービス提供が停止してしまう施設もあるため、2つの研修グループに分けて研修時期をずらすという配慮をしました。研修は2州同時に手分けして行いましたが、中央レベルの研修講師を必ず1名ずつ各研修グループに配置し、研修の質が落ちないように管理しました。
研修内容は、先に行ったサービスの質の現状調査結果も反映させ、産前・産後健診や乳幼児発育健診で行うべき身体計測、診察、カウンセリングや健康教育において母子健康手帳を用いながら如何に効果的に行うかに焦点が当てられています。座学だけではなく、ロールプレイや調理実習なども組み込んだ実践的な内容となっています。
また、プロジェクトの活動の一環として、パイロット郡だけでなく対照郡も含めて、指先穿刺による簡易型ヘモグロビン測定装置を全ての保健施設に導入し、ヘモグロビン検査を実施することとなったため、その測定装置の使い方の実践訓練も研修に組み込みました。ちなみにこの検査に必要な消耗品に関しては、介入開始直後を除き、その後は保健省側で継続的に供給してもらえるように交渉しました。このため、保健施設側も妊婦に限らず必要な患者全てに対してヘモグロビン検査の実施が可能となりました。これまで、妊婦への貧血検査は、産前健診ガイドライン上は必須項目となっていたものの、検査装置がある郡都の保健施設のみで行われていました。このため、それ以外の施設では貧血が疑われる妊婦には、郡都の施設での検査を勧めることしかできませんでした。プロジェクトがもたらした大きな前進といえます。

【画像】

ガザ州における保健医療従事者研修講師養成研修にてヘモグロビン検査の実習を行う参加者(2月27日)

【画像】

ガザ州における保健医療従事者研修講師養成研修にて補完食調理実習を見守る保健省公衆衛生局栄養課長(右端)と参加者(3月1日)

【画像】

ガザ州ビレネ郡での保健医療従事者研修(3月7日)

【画像】

ガザ州シブト郡での保健医療従事者研修(3月21日)