プロジェクトニュース 第42号
JICA海外協力隊 2024年度2次隊として、ケリチョ郡のキプケリオン農業事務所に派遣されています、森 政人と申します。職種はコミュニティ開発で、主に小規模農家の収入向上支援に取り組んでいます。現在のところ、各農家を訪問して、栽培している作物や収入額等について調査し、今後農家に対してどのようなアドバイスを行えば収入向上に繋げられるのか、試行錯誤を繰り返しつつ活動をしています。この度はブシア郡で行われたSHEP研修に、オブザーバーとして参加させて頂きました。
研修に参加させて頂いた背景は、私の配属先からの要請のひとつとして、SHEPアプローチを用いた小規模農家への支援が含まれていたことが挙げられます。私の任地では人口の約7割が小規模農家とされ、収入額が非常に少なく、日々の生活が苦しい人が多くいます。それらの小規模農家の収入を向上させ、農業で生計を立てられるようにするアプローチのひとつとして、SHEPの手法を用いた活動も行なっています。SHEPアプローチには4つのステップがありますが、現在は第1のステップである対象農家選定と目的共有を行なっています。今後もSHEPの手法を用いた活動を継続する予定のため、SHEPについてより理解を深めたいと思い、今回の研修に参加させて頂きました。
4日間の研修で特に印象に残ったことは、実際に市場へ行き、作物の販売業者へインタビューをしたことです。販売業者の生の声を聞くことができ、新たな発見もありました。私達のグループではトマトとマナグ(アフリカの伝統葉物野菜でBlack Night Shadeのこと)の調査をしましたが、実際に需要と供給に応じて価格が変動するということが分かり、更に販売業者が農家に求める作物の品質も知ることができました。トマトでは形が丸いものが、マナグでは葉が大きいものが好まれるようですが、共通して新鮮なものを販売業者は求めていることが分かりました。市場へ足を運ぶことは、農家が栽培計画を立てる上でも重要だということを実感しました。また研修に参加した方々と、市場調査を通して分かった作物価格の変動から、価格の一番高い時期に作物を売るためには、何月からそれぞれの栽培準備を始めなければならないか等の話し合いを研修中に行なうこともでき、農家の目線で考える経験を積むことができました。しかしながら、実際に価格の高い時期に作物を売るためには、適切な栽培技術や灌漑設備も必要だということも研修で学び、農業でより高い収入を得る難しさも感じました。
今後の私の活動において、各農家に対して市場調査の重要性を伝えることはもちろん、私自身も農家と一緒に市場へ足を運び、販売されている作物の種類や価格の調査をする等、SHEPの手法を伝えてそれを農家に実行してもらうよう促し、収入向上に繋げられるよう尽力していきたいと思います。
BusiaカウンティでのSHEP研修の様子
SHEP研修での市場調査