67.持続的かつ半集約的なアヒル生産方法の開発のために
みなさんは「アンチバイオティクス(antibiotics)=抗生物質」という言葉を聞いたことがあると思います。この「抗生物質」と対になるのが「プロバイオティクス(probiotics)」で、「共生」を意味するプロバイオシス(probiosis)を語源とし、一言で言うと、人や動物の体に良い影響を与える微生物、いわゆる「善玉菌」のことです(例えば、下痢や便秘を抑えたり、腸内環境を整えたり、腸内感染を防いだり、免疫機能を上げたりします。「乳酸菌」や「ビフィズス菌」などは、よく耳にするのではないでしょうか)。
本プロジェクトの社会実装モデルNo. 3(プロジェクトニュースNo.33参照)では、このプロバイオティクスのうち、ベトナム国内で手に入る製剤を利用して、先ずは「抗生物質に頼らずにアヒルの健全性を高める」という課題に取り組んでいます。同チームの日本側リーダーで、今般、訪越された岡山大学教授の畑生先生によると、特に製剤そのものに含まれている細菌等の構成を考えると腸内環境改善効果が見込まれるので、アヒルの健康増進効果も見込めるとのことです。畑生先生からは、また、利用しやすく、効果が期待しやすいプロバイオティクス製剤を、トライアル利用して基礎データを収集後に、より効果の高いものの開発を考える必要があると指摘いただきました。更に、現在、日本側では、ニワトリから乳酸菌の分離とその免疫に対する特性について解析を進めており、将来的にはこれらの乳酸菌を提供できる可能性があるそうです。
CTUの修士課程受講生向けの特別講義「鶏コクシジウム症の防除手法開発のために」を実施する畑生先生(左端)
CTU農学部で開催されたIFAC2023(国際食糧動物会議)において「ニワトリ盲腸コクシジウムに感染した産卵鶏における 5-アミノレブリン酸補給の効果」と題する講演を行った畑生先生(右)と社会実装モデルNo. 3のCTUリーダーのグーさん