平和構築のための組合の社会活動促進 地域の学校改修とスポーツイベント

クンディナマルカ県ジャコピ市は、首都ボゴタの隣県ではあるものの陸路で8時間程度かかり、近隣の都市からも4時間程度かかる山中の遠隔地にあり、1990年頃まで紛争影響下にありました。当時は多くの住民が巻き込まれ避難を余儀なくされましたが、2000年代に入ってから住民が帰還し地域は徐々に安定していきました。その国内紛争が激しかった時代に、ゲリラ組織の基地だった建物が、現在80名程の地域の生徒が通う学校になっています。

プロジェクトでは昨年11月の協力開始から、住民ニーズに基づく総合的な農村開発事業を進めてきました。対象はカカオ生産者組合であり、生産面・経済面の協力が中心になりますが、先述の学校に通う生徒たちの親でもある組合員は、学校の改修に係る社会活動も長年続けてきていました。子供たちの健全な学習環境、健やかな成長は世界中の親の共通した優先度の高い願いだと思いますし、子供のための良い環境があることは若者のコミュニティへの定着など、地域の持続的な発展にも大切な要素です。そのような観点から、プロジェクトでは重要性の高いトイレ増設と食堂の屋根張替えに絞った支援を行うことに決め、8月に資材の調達を実施、今回の出張では工事の進捗を確認しました。

学校を訪問すると、全く予想していませんでしたが、平仮名で書かれた歓迎バナーとともに全生徒による歓迎式典を催してくれ、先生及び生徒代表から謝辞を頂きました。専門家側からは、この協力はカカオ生産者組合の親たちの努力から生まれたことを伝えて組合の社会活動をアピールし、若者たちが地域の未来であり改善された環境で努力して欲しい旨を伝えました。印象的だったのは、海外で勉強することを夢見る女生徒が、自身の夢に関わる初めての経験に感動して涙を流していたことです。日本人と直接会う、話を聞くというのが彼女には何か大きなことだったようで、人と人の出会いというのはそれ自体に意味があるものだと改めて感じさせられました。改修工事は、セメントを練るための水不足の影響などでまだ終わっていませんでしたが、しっかりと出来上がりつつありました。

歓迎式典で生徒たちへメッセージを伝える江口専門家

歓迎式典で生徒たちへメッセージを伝える江口専門家

組合員とDRIP de PAZチーム(増設工事中のトイレの前で)

組合員とDRIP de PAZチーム(増設工事中のトイレの前で)

この後、生産面・経済面に係る活動提案と実施計画の調整などを行い、若者も巻き込んだ形で近隣都市での市場調査を実施することが決まりました。最後に、社会包摂の促進を目的に「スポーツと平和」をテーマにしたサッカー大会を行い、専門家も混ざってプレーを楽しみました。組合活動への参加者を増やす効果に加え、既に参加している人たちのコミュニケーションの促進にも効果があるように感じられ、今後もチャンスを見つけて活動に取り入れていきたいと考えています。

市場調査実施に向けた生産組合リーダーとの協議

市場調査実施に向けた生産組合リーダーとの協議

「スポーツと平和」をテーマにしたサッカー大会

「スポーツと平和」をテーマにしたサッカー大会

今回は、社会面の活動を中心にお伝えしました。この小さな支援が、地域の生徒や若者たちの活動への参画につながることをプロジェクト「DRIP de PAZ」としては期待していますが、何よりも彼らの輝かしい平和な未来を願ってこのサイトでの活動を続けていきます。