平和定着促進のためのコロンビア行政官9名の本邦研修を実施
プロジェクトでは、2023年9月23日~10月12日の20日間、カウンターパートである農村開発庁(ADR)の行政官9名を日本に招待し、「平和構築に資する農村開発」研修を実施しました。日本ではコロンビアのようなポストコンフリクトにおける復興を目指す事例が限られているため、本研修は、2011年に東北地方で発生した東日本大震災後の復興におけるまちづくりや住民参加による地域開発をリソースとして当てはめました。
初めに訪問した北海道パートでは、JICAの平和構築の協力方針や日本の地方行政・政策についての講義、芽室町における住民参加型・行政側面支援型としてのまちづくりの事例・経験を学びました。ここでのポイントは、①対話を通じ住民の真のニーズや想いを事業化すること、②住民主体(住民自治)を促進し自立発展性を確保すること、③脆弱層を含む多様な人々を巻き込んだ事業計画を立案することなど、コロンビアにおける支援事業に必要な概念です。
次に移動した仙台・福島パートでは、東日本大震災の復興経験を学び、「地震→津波→原発事故→風評被害」といった複合災害から立ち直るために、①行政と住民、多様な住民間(特に被災移住者と受入れコミュニティ住民など)の信頼醸成と協働、②支援側がハード・ソフトのバランスをとること、③復興モデル地域になるという高い目標を掲げて地方行政が効果的で迅速な行動をとったこと、④震災前よりもレジリエンスの高いまちづくりを行ったことなどを学習しました。
最後に、JICA東京にて各自のアクションプランを発表する最終報告会を開催し、すべての参加者から高い満足度と自分たちの業務への活用案が発表されました。本研修を通じて、紛争影響地を含むADRの多くの支援事業における課題である「住民主体の自立発展的な地域づくりの実現」へのヒントが得られたと思われます。日本の災害復興や住民主体のまちづくりなどの経験が、今後コロンビアの紛争影響地の人々の生活向上のために活かされることが期待されます。
まちづくりビジョンマップ作成講義
芽室町役場にて
芽室町の方々とのパネルディスカッション
JAめむろ道の駅視察
東松山市の震災伝承館訪問
震災慰霊碑訪問
いわき市のオーガニックコットン事業視察
JICA東京での最終報告会