高血圧症・糖尿病ケアを支える「優先NCD啓発カード」

プロジェクトでは日本の「お薬手帳」や「患者手帳」のように治療の記録や家庭で保管できる冊子として「優先NCD啓発カード」を導入しています。このカードには、高血圧症や糖尿病のコントロールに必要な測定データ(血圧・血糖値や身体測定値)、内服薬、診察内容、検査結果を記録することができます。また、次回の診察予定日を書いておくことで、患者の定期的な受診を促します。

保健センターでは医師が診療記録を残していますが、これまで患者自身が治療の経過を家庭で確認する方法がありませんでした。このカードの導入により、患者や家族がいつでも治療の経過を知ることができます。また、緊急で他の病院を受診する際、カードの内容を通じて必要な情報を医療機関間で共有することができます。加えて、このカードには、血圧、血糖値、BMIの正常値やリスクの表記の他、栄養、運動、口腔ケア等に関する教育的な資料も添付されています。また、保健センターで実施されている「高血圧症・糖尿病患者クラブ」への参加記録も残せるようにし、患者への動機付けを促しています。

多くの患者は、保健センターを訪れる際、カードを忘れずに持参しています。医療スタッフからは、「患者の皆さんは、以前よりも自身の病気について関心を持つようになった」と効果を実感する声があがっています。また、「カードを持っていると保健センターに行きやすくなる」という患者からの声も聞かれました。今後もカウンセリングや生活指導の際にカードを利用し、患者の行動変容に繋がる活動を強化していきます。

プロジェクトでは、汎米保健機構(PAHO)ホンジュラス事務所とも情報共有や連携を行っていますが、この「優先NCD啓発カード」についてPAHOより賛同が得られ、カード利用の全国への拡大が期待されています。

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記録された優先NCD啓発カードの例

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高血圧症・糖尿病クラブに啓発カードを持参する患者

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高血圧症・糖尿病クラブで検査と記録を行う様子

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カウンセリング時に教育資料の内容を確認する様子