国際算数数学会合2023を開催しました

この1年間のプロジェクトの取り組みや現場の先生方の実践経験を教育関係者の間で共有し、学びの改善をいかに実現するかを考えるべく、11月28日と29日の2日間にわたって、国際算数数学会合をサンサルバドル市内で開催しました。参加者は、エルサルバドル教育省関係者のほか、主に全国の教員と指導主事で、各日約175人。それに加えて、ニカラグアとグアテマラからのオンライン参加、アメリカの民間研究機関であるRTIインターナショナル * からのオンライン発表もありました。本会合は、プロジェクトがその活動を通して知見を教育現場に還元し、また教員たちが現場レベルの工夫を全国の関係者間で共有する貴重な機会となりました。今回は「教師はどう教えるか」ではなく、「子どもの学びはどうあるべきか」に力点を置いて、生徒の学びを基に授業改善を議論する発表やワークショップ、ディスカッションを中心にプログラムを組みました。

初日のテーマは「授業中の学習評価を基にした学習指導」でした。まず午前のセッションで、現場の先生方の実践例の発表、「生徒間の学び合いを促進するためには」をテーマに教育省技官たちの行ったアクションリサーチの調査報告、実際の生徒のノート学習の写真を基にしたノート指導改善点についてのワークショップを行いました。午後は午前の発表を踏まえて、4つの分科会に分かれて、関連テーマについて小グループで議論し、その結果を分科会内および全体会で共有しました。

2日目のテーマは「主体的学習をどのように促進できるか」でした。午前は、鳴門教育大学に留学し2023年9月に帰国したロドリゲス技官の研究成果の発表とRTIインターナショナルが実施したESMATE成功要因に関する調査分析の発表がありました。更に、現場の先生方の実践例の発表、座席配置を工夫することで生徒同士の学び合い状況の変化を調べたアクションリサーチの発表を行いました。そして午後は、テーマに基づいて教員と指導主事で別々の分科会に分かれて議論しました。教員グループでは「生徒の主体的学習時間を確保するために」というテーマで、それぞれの経験を共有しながら議論しました。またエルサルバドルでは様々な突発的行事のために授業時間が使われ、法定授業時数を満たすことができていない現状があるため、指導主事グループでは「決められた授業日数をどのように確保できるか」というテーマについて話し合いました。

最後に教育大臣から、現場の先生方への日々の取り組みへの感謝と激励の言葉、およびプロジェクトへの謝辞があり、2日におよぶ会合が閉幕しました。

参加者の満足度(1が「非常に不満」、5が「非常に満足」)は4.91と非常に高かったことからも、会合は大成功であったことが見て取れます。参加者の得たものが実際に教室レベルでの学びの改善につながるように、プロジェクトでは引き続き効果的な情報共有や学び合いの機会を提供することに取り組んでいきます。


*RTIインターナショナルについては下記記事参照。

画像

分科会にて、どのように生徒に有効なフィードバックをするかについてグループの意見を発表する参加者

画像

学びの改善のための貢献要因は何か、をテーマにロドリゲス技官が鳴門教育大学大学院留学中に研究した修士論文内容の発表。

画像

アメリカとオンラインでつないでRTIインターナショナルによるESMATEプロジェクトの成功要因に関する調査報告が行われた

画像

現場の先生による取り組み「どのように生徒の主体的な学びを促進するか」の実践発表。

画像

実際のノートの写真を基に、ノート指導について議論する参加者