GHG排出量算定・削減計画策定に向けたセクター別民間企業技術研修の開催(廃棄物セクター)

SPI-NDCプロジェクトでは2022年12月にセメントセクター、2023年3月に食品飲料セクターを対象に実施した民間企業研修につづき、第3弾の業種別研修として、2023年4月19日ハノイにおいて廃棄物セクターを対象とした研修を開催しました。

この研修は、2021年に施行された改正環境保護法の下に公布された「GHG 排出量軽減とオゾン保護に関する政令(06/2022/NĐ-CP)」(以下、政令6号)において、一定のGHG排出量を超える民間事業所に対して、GHG排出量算定報告が義務付けられることに対応するものであり、また廃棄物管理に従事する事業者の温室効果ガス排出量の算定と、緩和に関する測定、報告、検証 (MRV) の方法に関する天然資源環境省(MONRE)の通達 No.17/2022/TT-BTNMTの発出されたことから、より具体的なGHG排出量の算定に関する事例を用いた演習なども実施しました。

MONREより通達が出されて初めて実施された本研修は、参加者からの関心が非常に高く、オンライン参加の双方を取り入れたハイブリッドでのべ300名以上の参加者を集めました。民間企業から数多くの質問・意見がだされ、MRV実施に向けた国と民間企業のよい意見交換の場となりました。

日時・場所

日時:2023年4月19日(水)
場所:Sheraton Hanoi Hotel
参加者:304名(会場参加74名、オンライン参加230名)

プログラム

08:30 -08:45 開催挨拶 グエン・トゥアン・クアン
天然資源環境省気候変動局 局次長
福田幸司
JICA SPI-NDC総括
セッション1: 気候変動に関する法制
08:45 -09:15 NDC更新版と気候変動対策に向けたベトナムの法制と行動 ルオン・クアン・フイ
天然資源環境省気候変動局GHG排出削減・オゾン層保護課 課長
09:15-09:20 Q&A
セッション 2:GHG排出量算定演習
09:20→09:35 背景と概要 石井晶子
JICA SPI-NDC専門家
09:35→09:55 レポートの様式 ダン・ホン・ハイン
JICA SPI-NDCナショナルエキスパート
09:55-10:10 通達No.17/2022/TT-BTNMTに沿った報告形式と計算ツール ダオ・ティ・ヒエン
JICA SPI-NDCナショナルエキスパート
10:10-10:20 Q&A
10:20-10:35 休憩
10:35 ₋10:55 オンラインGHG報告システムの導入 ダオ・スアン・ホアック
JICA SPI-NDCナショナルエキスパート
10:55‐11:45 事例と演習 - モデル施設のGHG排出量算定 ダオ・ティ・ヒエン
JICA SPI-NDCナショナルエキスパート
11:45‐12:00 質疑応答とディスカッション
セッション3:GHG排出削減行動の計画
13:30-13:45 ベトナムの廃棄物管理施設における緩和策のグッドプラクティス-コンポスト グエン・ホアン・ラン
ビンズオン水環境社 廃棄物処理支部次長
13:45‐14:00 ベトナムの廃棄物管理施設における緩和策のグッドプラクティス-廃棄物発電 グエン・フック・タン・ヒック氏
日立造船ベトナム ハノイ支店長
14:00 -14:05 Q&A
14:05 -14:25 GHG削減策の実施によるGHG排出削減量の推計 ホアン・ハイ
JICA SPI-NDCナショナルエキスパート
14:25 -15:15 ケーススタディと演習 – モデル施設のGHG排出削減量算定 ダン・ホン・ハン
JICA SPI-NDCナショナルエキスパート
15:30 -15:40 質疑応答とディスカッション
15:40 -15:50 閉会挨拶 福田幸司
JICA SPI-NDC総括

総論 (主な論点)

廃棄物管理部門では、他のセクターに先駆け、MONREが事業者の温室効果ガスのインベントリと緩和に関する測定、報告、検証 (MRV) の方法に関する通達 No.17/2022/TT-BTNMTを発出しているものの、その通達は技術ガイダンスとしては100頁を超える内容で、示される計算式も複雑なため、事業者にとっては具体的にどのようなデータを収集し、どのように対応してよいか分からないという実務的課題が多く指摘されていました。そのような問題意識が、本研修に大勢の参加者が集まった背景の1つともいえます。

本研修では、通達No.17に沿ったGHG排出算定を支援するエクセル形式の計算フォーマットを提供して、それを用いてケーススタディ形式の算定演習を行いました。会場、及びオンラインで実施したグループワークには、参加者同士が意見交換しながら真剣かつ積極的に取り組む姿が見られました。また、演習後のフィードバックでは、同計算ツールは非常に分かりやすく、有益であるとのコメントが多く寄せられました。

SPI-NDCの専門家チームでは、GHG排出算定のパイロット事業の実施も予定しており、今後、事業者からのフィードバックも反映し、より使いやすいツールを開発する計画です。

研修の様子

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