日本の係活動を取り入れて児童の主体性を育む学校行事の実施
2021年からプロジェクトで実施してきた児童の非認知能力育成のための活動は、パイロット校で定着するとともに、学校独自で新たな取り組みに挑戦しており、今回のプロジェクトニュースではその一例を紹介します。
マレーシアの小学校では、毎年、独立記念日を祝って各校にて記念行事を実施します。記念行事の内容は教員主導で決められることが多く、よく見られる行事内容はクラス毎の展示物の掲示や舞台上の演舞・演奏などです。一方、2024年のパイロット校での独立記念行事では、「独立記念カーニバル」と銘打って、児童・教員・保護者協働のイベントが実施されました。
このイベントは、児童の主体性を高めることを主眼として先ずは教員間で計画がなされ、日本の学校にある「係活動」を参考に、イベント実行委員会の仕組みを導入するアイデアを固めました。その後、児童にこの教員のアイデアを共有の上で、「道具係」、「スポーツ係」、「展示係」、「写真(広報)係」など実行委員(ボランティア)の児童と彼らをサポートする先生から成る各係のチームを形成しました。また、学校全体で何をするか、どの係がいつ何をするか、各係内でだれが何を担当するか等々を事前に実行員の児童で話し合って準備を進め、必要に応じて各係をサポートする先生の支援を得て当日まで入念な準備が進められました。
当日は、児童の提案で、自分たちが日ごろ何を頑張っているか地域の方々にも知ってもらうため、学校周辺で各クラスの「クラス目標」を掲げて行進するパレードが行われました。一方、校内では学年交流の伝統遊び・競技や伝統料理展示・販売がいずれも児童の主導で行われました。また、低学年の児童が伝統遊び・競技に参加する際には、高学年のスポーツ係の児童が遊び方を指導し、装具の準備を手伝いました。さらに、児童の伝統料理の調理には保護者の補助を得て、児童みんなが安全かつ安心して実施できるようイベント運営に配慮されました。
イベント実施後、すべての係と各係のサポート教員が集って振返りを行ったところ、児童からは、感想や気づきの点だけでなく、次回に向けた改善点などが提案されました。今回のイベントを通じて、日ごろから児童との関係を築いている同校の教員達ですら、子供たちの積極性や発想力の豊かさに驚かされていました。また、児童の発意・実施等を教員がサポートしたことで、改めて同校内の信頼関係の高まりが見られました。さらに、保護者や地域の方々はMAKMurの取り組みを目の当たりにすることでより理解が深まりました。
プロジェクトでは引き続き、こうした各校の好事例を他校にも共有しつつ、各校の活動改善を促す取り組みを進めてまいります。
準備会議を実施し、当日の役割を話し合う児童たち
スポーツ係の児童によるイベント内の伝統競技の準備
展示物の説明をする展示係の児童
クラス目標を掲げて行進する児童達