【医師】臨床指導の能力強化を目的とした研修が行われました。
2023年12月10~17日、臨床の現場における研修医指導に定評のある伊原医師(尼崎県立総合医療センター)を専門家としてお招きし、臨床指導の能力強化を目的とした研修をウランバートル、オルホン県、ボルガン県で実施しました。
伊原医師は、患者さんの訴え(主訴)や臨床の経過(病歴)、また診察を丁寧に扱い、臨床の現場で研修医を熱心に指導しておられる指導医です。過去にはその親身な指導が評価され、所属されていた施設で、研修医たちからベストティーチャーに選ばれた実績もあります。
今回、ウランバートルでは総合診療研修を開始した市内の病院の指導医たち、またオルホン県地域診断治療センター及びボルガン県総合病院の指導医たちを対象に、効果的な研修医指導の実践方法について、豊富な実例をもとに解説いただきました。また実際の事例をもとに症例検討会も実施し、伊原医師が日本の病院で研修医を指導する様子を再現していただきました。
指導医たちのなかには、研修医指導に不安を感じると研修開始前に発言していた方もおられました。しかし、2時間にもわたる研修を受けるうちに、次第に指導医たちの緊張がほぐれ、「研修医を育てることは、モンゴルの未来の医療を変えることにつながる」との伊原医師の発言に、うなずいて聞き入っておられる姿が印象的でした。
研修医の指導は、一朝一夕でできるようになるものではありません。ただ「良い医師を育てたい」との気持ちを持ち続ける限り、指導医は研修医とともに成長することができます。今回の研修は、その気づきを指導医たちに与えるきっかけとなったのではないかと思います。
モンゴルのどこの病院でも、同じ質の臨床研修を実施することができるようになるためには、指導医の能力の強化は欠かすことができません。プロジェクトでは残り1年となりましたが、継続して研修プログラムの質の向上を図り、すべての地域病院で良い研修を受けることができるよう、支援を続けたいと考えています。
モンゴル国 医師及び看護師の卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明
写真. 研修医指導の効果的方法について実例を交えて解説する伊原医師(右端)