【医師】ボルガン県総合病院にて総合診療研修が開始されました
プロジェクトでは、モデルサイトのひとつであるボルガン県総合病院において、総合診療研修が開始できるよう支援をしていますが、2023年10月から研修医を受け入れ、ついに総合診療研修を開始することができました。
ボルガン県総合病院では、本プロジェクトの第一フェーズである2016年頃から、総合診療研修を始めるための準備をしてきました。当時は病院長を始め、院内の複数の医師たちが、指導医講習会を受講し、日本の臨床研修制度を学ぶために、訪日研修に参加したこともありました。しかし、諸事情があり、2018年以降プロジェクトからの支援が途絶えていました。
第二フェーズが始まった2021年以降、プロジェクトは再びボルガン県総合病院の支援を開始するようになりました。今フェーズでは、既にモデル研修を開始しているオルホン県地域診断治療センターの方達とともに、ボルガン県での総合診療研修実施に対し、技術指導を継続して行ってきました。そのほかにも、研修病院としての承認を受けるため、モンゴル保健開発センターの担当者が、何度も指導を行いました。
多くの方たちの連携と協力があり、2023年10月には研修病院としての認可を取得し、同月より研修医を1名受け入れ、念願の総合診療研修を開始しました。これまで研修医の指導を実施する機会がなかった指導医たちは、まだまだ試行錯誤をしながら研修医に対応しておられます。しかし地域の医療に貢献する人材とするため、1人の研修医に丁寧に接し、指導医たちが相談しながら研修医を育てようとする姿は、とても感動的でした。
Byambasuren院長先生は、「まだまだ不安はあるが、大きな一歩踏み出すことができました。慌てることなく、丁寧に1人の医師を育て、少しずつ実績を重ねていき、将来は多くの研修医が集まる病院となることを目指したい」とおっしゃっておられました。幸いボルガン県はオルホン県まで車で40分ほどの距離しかありませんので、これまでも、そしてこれからも互いの病院から学び、共に成長することができればと考えています。
中核となる地域の病院が近隣の病院で行われる総合診療研修の実施を支援するスタイルは、今後モンゴルの他の地域でも同様に行うことができます。最終的にはモンゴルの方達が持続可能な形で改善を加えながら臨床研修を実施することができるよう、そのシステム作りに技術面での支援を行うことができればと考えています。
モンゴル国 医師及び看護師の卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上信明
写真. ボルガン県総合病院の指導医たちと研修医(右端)