【医師】第3回総合診療研修プログラム責任者連携協議会が開催されました。
2024年9月24、25日、国立モンゴル医科大学の講堂及びBlue Sky Hotelにおいて4回目となる総合診療研修プログラム責任者連携協議会が開催されました。今回は、総合診療研修をすでに開始している、またこれから開始しようとしている施設の指導医たち約90人に集まっていただきました。
今回は、日本において総合診療や研修医教育、指導医育成に関する活動で著名な前野哲博教授(筑波大学地域総合診療医学、総合診療科)と志水太郎教授(獨協医科大学総合診療科)をお招きし、研修医指導を実践的に学ぶ機会を24日、国立モンゴル医科大学の講堂にて設けました。
まず志水教授からは、診断推論について解説いただきました。医師が患者さんを前に、病歴や診察をしながら、診断に至る複雑なプロセスを分類し、それぞれの特徴をクリアに解説していただきました。また前野教授からは、研修医を指導する際に大切なこと、特に心理的安全性や適切なフィードバックについて、ご講義いただきました。
その後、モンゴルの研修医に実際に診療した患者さんの事例をプレゼンテーションしていただき、講義で説明のあった診断推論のプロセスを共有しながら、モンゴルの指導医たちとともに、さまざまな疾患の可能性を議論しながら、診断に至る過程を楽しみました(写真1)。
また続けてモンゴルの指導医の一人に前に出ていただき、日本人専門家が行った診断推論に基づく議論をファシリテートしていただきました(写真2)。先に行ったセッションよりもさらに議論は盛り上がり、参加したみなさんが参加して、ひとつの症例から多くのことを学ぶ機会となりました。
参加者からは、「このようにディスカッションしながら症例を深めていくことは、初めての経験だったが、とても楽しく学ぶことができた」と前向きなコメントが寄せられました。
9月25日には、Blue Sky Hotelに場所を移し、総合診療研修の質を維持しながら、全国に展開するために必要な取り組みについて、協議する機会を持ちました。保健開発センター人材開発部Otogonchimeg部長より、モンゴルにおける総合診療研修の現状や課題を説明していただき、その後前野教授から、日本の臨床研修制度の概要と日本における臨床研修の質を維持する取り組みについてご紹介いただきました(写真3)。最後には研修に関する予算の状況や具体的に研修を実践するために必要な契約事項等についての説明があり、協議会を終了しました。
プロジェクトが関与して総合診療研修プログラム責任者連携協議会を実施するのは、今回が最後となります。総合診療研修を行う施設はこれからも増え続ける予定ですので、どこの地域においても質が維持された総合診療研修を提供することができるよう、モンゴルの各施設の関係者たちの更なる連携に期待しています。
医師及び看護師のための卒後研修強化プロジェクト
チーフアドバイザー 井上 信明
写真1 モンゴルの研修医(右)がプレゼンテーションし、議論をファシリテートしながら診断に至るプロセスを説明する志水教授(左)
写真2 モンゴルの代表として、診断推論の議論をファシリテートするNaidansuren医師
写真3 日本の臨床研修制度や研修の質を維持する取り組みについて説明する前野教授