【医師】総合診療研修を開始したフブスグル県病院を視察しました
2024年10月8日、プロジェクトのメンバーは、今年10月から総合診療研修を開始したフブスグル県病院を訪問し、研修の開始状況を視察しました。
フブスグル県病院では、以前から熱心に研修医指導に取り組んでおられ、昨年の時点ですでに総合診療研修を実施する病院として、保健省・保健開発センターの承認を得ていました。そのため、プロジェクトではモデルサイトであるオルホン県地域診断治療センターの指導医たちの力を借り、フブスグル県において指導医講習会を実施したり(https://www.jica.go.jp/oda/project/1941062/news/20230519.html)、研修開始に向けた助言(https://www.jica.go.jp/oda/project/1941062/news/1533315_45131.html)をしたりしてきました。また、今年5月に実施された訪日研修にも、フブスグル県病院から2名の方が参加し、日本における臨床研修の取り組みから学び、自施設に導入するために活動をしてくださっていました。
今年10月から1名の研修医を受け入れ、念願の総合診療研修を開始することができた、フブスグル県病院の指導医の先生方は、非常に前向きに、意欲に満ちておられ、今回ぜひ視察に来てほしいとの要望もいただき、訪問させていただきました。また視察に際し、病院の管理職、指導医たちに集まっていただき、研修の実施において大切な指導医の能力強化をテーマに勉強会を実施させていただきました。日本において研修医指導に定評のある、伊原崇晃医師(尼崎県立尼崎総合医療センター)に、研修医の特性に合わせた、適切な研修医指導の方法についてご講義いただきました。
講義のあと、研修カリキュラムの概要について井上チーフから説明され、またモデルサイトを活用した研修管理の進め方についても助言がありました。
参加された指導医たちからは、待ち続けた総合診療研修を開始することができる喜びと合わせ、不安の声も聞かれました。研修医教育に丁寧に取り組み続けている、オルホン県地域診断治療センターでは、病院全体で研修医育成に対する文化が醸成され、結果指導医の能力向上に繋がっている実例を共有し、不安を解消していくためには、隣県であり、昨年度に総合診療研修を開始したボルガン県の指導医たちとも連携して、研修プログラムを作り上げていく必要性を話し合いました。
プロジェクトが関与し、モデルサイトの指導医たちが直接支援して総合診療研修を開始できる施設が増えることは、非常に感謝なことです。プロジェクトの活動は、ほぼ終了に近づいていますが、丁寧にまいたタネが育ち、その花が開いて各地に広がりつつある様子を確認することができました。今後、さらにこのような活動が促進されるように、残された期間、支援を継続したいと思います。
医師及び看護師のための卒後研修プロジェクト
チーフアドバイザー 井上 信明
写真1 伊原医師による講義。すべての指導医たちが参加し、質問も多く聞かれました。