【ニューズレター】DPUB2ニュースレター12月号

1.着実に育つ企業啓発人材

企業啓発人材の2期生を対象に2023年10月に実施されたフォローアップ研修の一コマ

企業啓発人材の2期生を対象に2023年10月に実施されたフォローアップ研修の一コマ

障害者の雇用を進め、定着をうながすためには、障害がある人がその障害や特性に対して適切な配慮を受けながら安心して働ける環境を整えることが大切です。そのためには、障害者を採用して配属する企業の人事担当者や、一緒に働く同僚が障害を正しく理解し、職場で合理的配慮が提供されることが不可欠です。
こうした観点から、DPUB2は障害者の立場から企業に対して意識啓発を働きかけることができる人材の育成にも取り組んでいます。2022年4月に開かれた「第1回企業啓発人材育成研修」には、精神障害や聴覚障害、身体障害、視覚障害がある当事者19名が参加し、企業啓発人材の1期生として認定され、活動を開始しました。1年後の2023年4月には「第2回企業啓発人材育成研修」も開かれ、さらに18名の当事者が2期生として認定されました。
2023年10月、この2期生に対して3日間にわたりフォローアップ研修が開かれました。初日は18名の中から3名が、先輩にあたる1期生や、他の2期生の前で企業啓発研修のリハーサルに臨み、話し方や時間配分など、改善に向けて具体的な指摘を受けました。これを踏まえ、1名は翌日、企業の人事担当者ら17社21名に向けて、1期生とともに啓発セミナーを実施。その様子を見守っていた1期生たちから、最終日に再びフィードバックを受けました。

日本国内での啓発研修の実績を生かしてJICA専門家として企業啓発人材の育成に取り組む株式会社ミライロの3人

日本国内での啓発研修の実績を生かしてJICA専門家として企業啓発人材の育成に取り組む株式会社ミライロの3人

企業啓発人材育成研修とフォローアップ研修のタイミングでJICA専門家としてモンゴルを訪れ、1期生と2期生の育成にあたっているのは株式会社ミライロの3人です。日本国内で企業や障害当事者にさまざまな意識啓発を行ってきた同社の経験を生かし、障害当事者が自分の障害特性をどう説明すれば理解を得やすいかや、当事者自身が企業に啓発研修を行う意義について、豊富な事例と共に伝える3名の研修は、モンゴルの障害当事者たちから好評です。今回のフォローアップ研修は、企業啓発人材として認定されて間もない2期生たちにとって、企業啓発研修の準備から進行、振り返りにいたる一連のプロセスを具体的に学ぶ良い機会となりました。

2.1期生と2期生が連携して企業啓発セミナーを実施

10回目となる企業啓発セミナーは、企業啓発人材の1期生と2期生の連携により開催

10回目となる企業啓発セミナーは、企業啓発人材の1期生と2期生の連携により開催

前述の2日目に開催された企業啓発セミナーは、モンゴル企業の人事担当者のネットワーク組織であるHuman Resourceクラブと連携して実現したものです。当日は、企業啓発人材の1期生と2期生が、前出のJICA専門家3名とともに講師役を務めました。
このうち、1期生のバチメグさんとムンフトゥールさんは、障害に関する基本的な理解や、モンゴルにおける障害者雇用の現状、職場における合理的配慮のあり方などについて講義しました。また行政官である2期生のチュルーンエルデネさんは、自身のバックグラウンドを生かして障害者雇用に関する公共サービスと関連法について解説し、他の2期生たちもファシリテーターとして協力しました。
今回、1期生と2期生が連携して企業啓発セミナーを実施したことは、どちらにとっても学びを深める良い機会になりました。これを機に、企業啓発人材同士の絆と協力関係が深まることも期待されます。