ラオカイ省森林所有者がスタディツアーでイエンバイ省を訪問しました

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↑UEBT認証マーク

2024年3月18日~19日、当プロジェクトが支援しているラオカイ省バオイェン郡ビンイェン地区のシナモン林所有者グループを対象としたスタディツアーを実施しました。本スタディツアーは、同グループがUEBT認証取得を目指していることから、実際に様々な認証を取得したり、海外へ製品を輸出したりしているイエンバイ省の例を学ぶことを目的としたものです。

現在、プロジェクトでは同対象地区においてシナモン林のUEBT認証取得を支援しています。UEBT1とはUnion for Ethical Bio Trade(倫理的バイオトレード連盟)の略で、オランダに本部を置く非営利団体です。UEBT認証の取得には、天然資源の持続可能な調達と利用、生物多様性の保全、労働者の安全と権利、利益の公正な配分など様々基準が定められており、認証マークの取得は、生物多様性を尊重しながら、原材料の倫理的な調達に取り組んでいる証となっています。左側にあるUEBTの認証マークは植物の葉、動物の顔、生物多様性に配慮していかなければならない私たち人間の“手”で構成されており、丸い形は地球をあらわしています。

今回、スタディツアーの参加対象となったシナモン林所有者の住むラオカイ省バオイェン郡ビンイェン地区から、訪問先のイエンバイ省ヴァンイエン郡までは約100キロメートル、車で2~3時間の距離があります。最初に訪れたSon Haスパイス・フレーバーという企業では、有機認証を取得したコショウやシナモンを、主にアメリカとEU向けに輸出しています。取引しているシナモンの半分はラオカイ省で育てられたもので、UEBT認証されたものもあります。認証があるものには、取引の際に付加価値分を上乗せした額が支払われるということです。

午後には、Vina Samexという日本やアメリカ、EU向けにUEBT認証されたシナモンなどを輸出している企業から話を聞きました。同社によると、認証済みの作物には、1割から2割価格が上乗せされ、そこから得た利益が道路や橋の建設など、地域の発展に寄与するために使われているということです。また、生物多様性の観点からシナモンだけではなく、ショウガやターメリックといった他の作物をシナモンと一緒に植えるように森林所有者に指導しているとのことです。

翌日には、Vien Sonハーブ共同組合から、企業とのパートナーシップの在り方について聞き取りを行い、スタディツアーは幕を閉じました。

今回の経験を通じて、UEBT認証取得後にシナモンの買値がどのくらい上がるのか、得た利益を通じて地域がどのように発展するのか、参加者はその様子を実際に感じることができ、シナモン林所有者の認証取得へのモチベーションがぐっと上がったようです。プロジェクトでは今後も、本地域のUEBT認証取得へ向けて支援を続けていく予定です。


1 https://uebt.org/ (英語サイト)

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シナモンを粉末にするために裁断する様子

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シナモン桂皮を保管するための倉庫

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イエンバイ省の森林所有者のリーダーからの説明を受ける様子

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スタディツアー参加者の集合写真