標準カリキュラム開発の成果、国際医療支援活動のためのCoordination Courseが初めて国レベル開催されました!

タスクフォースや国内支援委員の先生方のお力を借りてARCHプロジェクトが開発を続けて来た、ASEAN各国が自国で行う標準カリキュラムの一つである調整コース(Coordination Course: C-course)が、9月開催が予定されている第5回地域連携ドリルに併せて主催国マレイシアで初めて実施されました。この国別研修コースの目的は、災害などの緊急時に際し、国内外EMT受援も含め自国の調整能力が強化される事です。

研修対象者は災害等の緊急時に保健医療担当機関で緊急対策本部などに配置される者、特に医療支援の受援が必要な時のEMT調整を行う担当者で、自国が他国からの支援が必要な大規模災害が発生した時にEMT派遣調整や活動サポートなどを担う人材を育成するためのコースであり、その為に国際・国内の派遣手順やガイドラインを熟知し緊急時のEMT支援に適用する事ができるようになるためのコースでもあります。

本コースは、2022年の本邦研修(Knowledge Co-Creation Programme:KCCP)にて試行開催され、改良を重ねた後に、第5回となる地域連携ドリル(Regional Collaboration Drill:RCD)に併せてマレイシアにて実施される運びとなりました。今回の国別実施では、コースを「事前学習(オンライン)」と「対面式研修」に分け、一般知識・概念をオンラインにて事前学習した後に、対面式研修で国特有の災害管理体制(法や規則など)や研修対象者への調整能力向上を目指します。

コースを構成する3つの柱

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オンライン事前学習

本コースのマレイシア適応実施に向け、マレイシアとの協議や準備を重ね、9月開催のRCDに向け、7月20-21日の2日間で事前学習のオンラインコースを開催しました。この事前学習は13モジュールを8時間にて実施し、タイとARCHプロジェクト(国内支援委員含む)が講師を務めました。

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オンライン事前学習(7月20-21日)

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マレイシア保健省や関係者と最終準備などを協議

マレイシア適用の対面式Cコースの実施

一般基礎コンテンツ13モジュールにおけるマレイシアの国内災害管理規則や法律、またASEANプロトコルにおける国内・国際EMT受援などに適用し、(PH)EOCもしくはEMTCCの立上げにおいてマレイシア大規模災害時における保健省、国家災害管理局(Malaysia National Disaster Management Agency(NADMA))、入管などの関連機関の役割と連携を遂行する関係者に向け、8月15-16日の日程で、リキャップなどのサポートセッションを含む2日間のコースを実施しました。当プロジェクト国内支援委員やMentor陣の協力を得た今回のコースはRCD本番でファシリテーター、エクササイズコントローラーなども招待され、マレイシア関係者総勢30名程が参加しました。各関係者はこれらの知識をRCD演習の場で適用する練習をすることになります。

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マレイシアNDMO(NADMA)による国内災害管理と国際EMT受援のASEANプロトコルの講義

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インドネシアメンターによるPre-deploymentにおける保健省の役割についての講義

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Health Needs Assessmentの講義を担当したThai Taskforceの医師(Dr. Gawin)

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RCD演習シナリオに沿って受援終了の判断についてグループワーク

また、今回はCコース実施後にRCDのリハーサルが実施されました。開会式から空港でのRDC(Reception and Departure Center)野外演習タイムスケジュール遂行までをマレイシア保健省主導で行程を確認しました。リハーサルには入国管理局職員やSMART Base職員も立ち合い、特にRDCでの入国審査については過去のRCD主催国から成るMentor陣と念入りにすり合わせが行われました。また、EMTCC業務に必要なデータ管理などを含めた実務の確認が多く、今回は特に2022年のマレイシアKCCP参加者が研修で習得した知識を実務に生かすべく現場ファシリテーションを牽引する姿が大変心強く見受けられました。

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RDC手順を確認するマレイシア保健省

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マレイシアNDMO(MADMA)Ms.Muruni(中央)にEMT入国プロトコルを確認するマレイシア保健省

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EMT(左)とEMTCC(右)でのタスクを確認

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野外演習各セクションの確認

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National EMTCCリハーサル

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演習シナリオ全体を統括するDr.Hafiz(帽子の男性)を中心に各配置されたファシリシテーターと進行の確認