JICAパイロット事業でスマート廃棄物収集運搬の試行開始
JICAシェムリアップ・スマートシティプロジェクトでは、複数のパイロット事業を実施しています。その一つ「廃棄物収集運搬スマート化」では、シェムリアップ市内の対象地区内にて11箇所の収集ポイントにQRコード付きの統一規格ごみ箱を設置し、Web・モバイルアプリによるIoTを活用した廃棄物収集運搬のスマート化の試行を開始しました。
2024年6月5日、この試行のキックオフとして、本パイロット事業の対象地域シェムリアップ市Sla Kram地区のコミューンホールにて、住民対象の会合が開催されました。会合では、15個の統一規格のごみ箱がSla Kram地区の自治会代表に引き渡され、住民はごみ箱の管理方法やアプリの使用方法の説明を受けました。
本パイロット事業は、事前に実施された廃棄物収集運搬に係る実地調査(タイムアンドモーション調査または時間動作研究)にて確認された問題の解決を目指すものです。調査では収集作業の実施及び技術面での課題把握と改善のために、廃棄物収集車両を追跡し、各収集箇所と最終処分場でのごみの積み下ろしにかかる時間等を記録しました。この結果、シェムリアップ市内で様々なごみ排出容器が使用されているため収集車両への積み込み効率が低下しているほか、住民に収集スケジュールが周知されない等の問題を特定しました。
スマートシティプロジェクトでは、これらの問題解決を目指し、パイロット事業の一つ「廃棄物収集運搬スマート化」として、統一規格のごみ箱の設置を支援するとともに、収集状況を可視化し、IoTを活用して管理するWeb・モバイルアプリの開発・運用を開始しました。
「Smart Clean Siem Reapアプリケーション」と命名されたこのWeb・モバイルアプリにより、地区住民は収集日に通知を受け取ることができ、収集事業者は、ごみの収集状況を把握できるようになりました。これにより、ごみの収集状況のモニタリングや住民が事前にごみ収集に備えることが可能になります。
本パイロット事業は関係者であるシェムリアップ州政府、市役所、環境局、民間収集事業者と協働して、廃棄物収集運搬の課題解決を目指しています。このパイロット事業実施により、廃棄物収集の効率化が期待されるとともに、スケジュールに沿った時刻通りの収集が可能になることが期待されます。
参考リンク:
廃棄物の収集運搬実態調査及びGPSデータ活用に関する講習会の実施
対象地域でのタイムアンドモーション調査の実施の様子。
タイムアンドモーション調査にて廃棄物の積み込み時間を記録する様子。結果は別途分析される。
地元業者とのweb・モバイルアプリ開発に係る打合せ。
対象地区でのキックオフ説明会の開催と住民代表統一規格のごみ箱引き渡し。(2024/6/5)
パイロット実施対象地の以前の廃棄物収集の様子。様々なごみ排出容器が使用されているため収集車両への積み込み効率が低下している。
パイロット事業で導入した統一規格のビンを利用した収集の様子。
モバイルアプリの使用用法を住民に説明する開発業者。
アプリを活用した収集初日は開発業者が収集車両に同乗し、ドライバーへ説明を行った。
ごみ箱に貼付されたQRコードと試行用にスマホでスキャンをするドライバー。
収集ドライバー/作業員がごみ箱に貼付された専用QRコードをアプリで読み取るか、アプリ上で遠隔操作をすることで、収集ポイント状況がアプリ上で管理可能となり、可視化される。
「Smart Clean Siem Reapアプリケーション」のインタフェース(web版)
「Smart Clean Siem Reapアプリケーション」のインタフェース(モバイル版)