研修のその後 -シャヒードスラワルディー医科大学病院での臨地実習の変化-
本プロジェクトでは、看護師の能力開発と看護学生の臨地実習の質を向上させることを目指し対象病院へマスタートレーナー(MT)と臨地実習指導者(Clinical Nurse Teacher: CNT)の育成研修を実施しました。
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その後、臨地実習はどのように変わったのでしょうか?
重点対象看護大学のシェレバングラナガル看護大学(CONSBN)の3年生(合計100名)が、成人医療・外科看護科目の臨地実習を行いました。今回は実習先のシャヒードスラワルディー医科大学病院(ShSMCH)の看護部長と看護学生へのインタビューをご紹介します。
Shahnawaz Parveen氏(ShSMCH看護部長)へのインタビュー
実習の一環として、患者に対してベッドサイドで特定の疾患に関する患者教育の発表を行いました。学生の臨地実習での発表を見てどう感じましたか?
ShSMCHでの臨地実習が改善されていることをとても誇らしく思います。以前は学生の臨地実習での指導も十分にされておらず、学生をサポートし監督する臨地実習指導者(CNT)も病院には配置されていませんでした。
臨地実習を見学し、看護学部の学生たちが臨地実習にとても興味を持って取り組んでいて、基礎看護技術の実践を通してベッドサイドでの学びを深めたいという意欲を感じました。
プロジェクト開始後、責任感、自主性、臨地実習への意欲など、看護師に好ましい変化はありましたか?
CBNS-II(本プロジェクト)が始まり、CNTを育成してから、看護師たちは看護技術の実践時に責任感を示しています。
看護部長として、今後の抱負をお聞かせください。
私は、質の高い看護学生への臨地実習と患者ケアを確保することで、将来、看護職のありかたを変え、患者が看護ケアに満足するよう努めるつもりです。また、患者と看護職に寄り添い、人々に奉仕していきたいと考えています。
私自身、今後も、(1)看護知識の習得、(2)専門看護、(3)CNTのさらなる発展に取り組んでいきたいと思います。
シェレバングラナガル看護大学(CONSBN)学部3年生へのインタビュー
臨地実習は以前よりも良くなったと感じますか?
Rifa Rubayat
氏:今回は、学部1年生の臨地実習で経験した環境とは異なる環境で実習を行いました。1年生の時は薬の投与だけだったのですが、今回は創造性を発揮する機会があります。今回は、以前の臨地実習では行わなかった、患者さんやご家族の前での発表の機会がありました。患者さんとの信頼関係を築くための治療的コミュニケーションの方法や、主観的・客観的データから病歴を聴取する方法も学びました。
Souvik Baksi
氏:(デング熱に関する)発表の準備のためにすごく勉強しなければならなかったのですが、準備を通じてより知識が深まりました。以前の実習ではできませんでしたが、今回理論的な知識を臨床に活かせて嬉しく思います。CNTやMT、看護部長から受けたサポートも素晴らしかったです。病棟看護師のサポートで、私たち学生は患者さんに質の高い看護ケアを提供しようというモチベーションが高まりました。
Liton Hossain
氏:学生看護師は日々の活動の一環として目標を達成しようとしていました。以前は(技術向上重視だったので)、技術を向上させるため日々の活動シートに従っていましたが、今回の臨地実習では活動シートに従うことは少なくなっています。
臨地実習での良い経験と難しかったことを教えてください。
Souvik Baksi
氏:本来は1年生の臨地実習で学ぶ退院・入院手続き、カルテの読み方、正確な記録の取り方を学びました。先輩看護師を手伝う中で、患者に対応する自信がつきました。
Rifa Rubayat
氏:患者さんが、私たち学生の誠実なケアにとても満足し、退院の時に私たちを激励してくれたことが嬉しかったです。
Liton Hossain
氏:CNTと病棟看護師はより責任感を持って、私たち学生の指導に対応してくれていたと感じます。病棟看護師に質問すると、患者の対応で忙しいにもかかわらず辛抱強く答えてくれました。
学生たち:(患者さん自身が購入しなければならない)10ccの注射器、サージカルテープ、カニューレなどの資材が揃わず、看護ケアが難しかったです。
また、デング熱病棟には看護師用の血圧計がなく、患者さんの血圧を測ることができませんでした。血圧測定は医師だけが行っていました。緊急の時に患者さんの血圧を測らずに患者さんの状態を知ることは難しかったです。
*1 2024年7月11日 「臨地実習協力病院でCNT育成研修を実施しました」 ニュース記事も参照ください
病棟実習の様子。右端は看護部長のShahnawaz Parveen氏。
看護学生によるベッドサイドでの患者教育の発表。