看護教育の質保証に向けた次の一歩 ― 重点2校のアクレディテーションのための意思決定委員会と他対象校での取り組み―
2025年8月11日
今年3月から5月にかけて実施されたシェレバングラナガル看護大学(CONSBN)およびマイメンシン看護大学(MNC)のアクレディテーションのためのレビューチームによるサイト訪問を受け*1、8月4日、6日、7日の3日間にわたり、バングラデシュ看護助産審議会(BNMC)において意思決定委員会会合が開催されました。これは、サイト訪問結果の妥当性を基準(クライテリア)ごとに精査し、結果を最終決定するものであり、対象教育機関の看護教育実施体制について総合的に議論する重要な機会でもあります。委員会は、保健家族福祉省(MOHFW)医学教育・家族福祉局(MEFWD)のJoint Secretary(局長補級職)を議長とし、MEFWD職員、看護大学等の教育機関の学長、医科大学病院の看護部長などで構成されました。会合では、看護教育の実践的側面を踏まえた建設的な議論が行われました。
委員からは、サイト訪問を通じて確認された教育現場の取組が評価される一方で、アクレディテーション制度運用におけるツールの統一や承認プロセスの明確化など、今後の改善に向けた課題も共有されました。プロジェクトとしては、承認済みのアクレディテーションツールに基づく評価の必要性をBNMCや委員に説明するとともに、今後に向け、制度運用の一貫性とアクレディテーションの質確保のため、ツールの改訂や、レビューチーム等関係者の能力強化のために協力する姿勢を示しました。
アクレディテーション申請に向けた準備作業はプロジェクト対象の他の看護大学にも拡大しています。7月以降、プロジェクトは、準備が進展しているチョットグラム看護大学(CNC)とロンプール看護大学(RpNC)を訪問し、自己評価報告書の最終化と、評価のエビデンスとなる添付資料の確認・整備を支援しました。両校では、教員が、アクレディテーション各領域の基準に応じたエビデンスの整理を進め、改善点の明確化と対応作業を進めています。プロジェクトは、自己評価報告書とアクレディテーション申請の提出に向けた確認作業を教員と共に行い、具体的な助言をしつつ、両校が自ら教育の質を高めていくための体制づくりを支援しています。
BNMCでの意思決定委員会の開催と、新たな2校での自己評価支援の進展は、看護教育分野における質保証の仕組みが拡大していることを示しています。アクレディテーション制度は、単に教育機関を評価する枠組みではなく、教育現場が自らを振り返り、継続的な改善を重ねるための「質保証の文化」を育むものと言えます。プロジェクトは今後もBNMCや保健家族福祉省、看護・助産総局、対象看護大学と連携しながら、看護教育の質向上と制度の持続可能な運用に向けた取り組みを継続していきます。
*1 2025年6月30日「重点2校のアクレディテーションのためのレビューチームサイト訪問」ニュース記事も参照ください。
バングラデシュ看護助産審議会(BNMC)での意思決定委員会
ロンプール看護大学での自己評価報告書最終化作業
チョットグラム看護大学での自己評価報告書最終化作業