Exposure Visitを実施しました(2025年9月12日)
ハノイPPMU(Provincial Project Management Unit)はJICA専門家支援のもと、Exposure Visit(先進農協視察)を企画・実施しました。対象農協の知識向上と相互学習を目的として、今回はフンエン省にあるYen Phu農協を訪問しました。参加者はハノイ市のDong Cao農協、Vien Son農協、PPMU、JICA専門家を含め計17名でした。
 
Yen Phu農協は、プロジェクトによる技術指導を通じて大きく発展し、先進的な取組を行っている対象農協の一つで、これまでも近隣農協のExposure Visitを受け入れてきました。現在では、30ha以上のViet-GAP認証農地を有し、年間40種類以上の野菜を生産しています。また、収穫物の約6割は、イオンやWin Martなど大手スーパーに供給しています。視察では、多様な販売先に対応する共同生産のしくみや、生産性向上のための栽培方法の工夫、ブランド構築や顧客対応の方法について、以下のような意見交換が行われました。
 
・緻密な生産計画と農家との生産調整:作期の始めに前年の販売実績や販売先との交渉状況に基づき、作物ごとの生産計画を立案し、農家と生産調整を行う。販売先の優先順位(スーパー、学校、社員食堂、地元市場など)を決定する。不測の事態に備え、作付面積は3割程度を予備生産として確保する。
・生産性向上を目的とした栽培方法の工夫:スマート機器を活用したハウス栽培(温度センサー付きビニールハウス)や苗の育成、土壌の特性に応じた作付け計画を導入している。
・ブランド構築と顧客対応:組合長が定期的に顧客や店舗を訪問し、フィードバックを収集している。顧客の意見をもとに包装ラベル商品を継続的に改善しており、これまでに6回以上の改良を重ねている。
意見交換では、定期的な顧客からのフィードバックの収集や、それらをもとにサービスを改善する「市場調査」の実施と継続の重要性が再確認されました。参加農協からは、「市場ニーズに応じた継続的な品質改善と新商品開発が重要」、「視察で得た知見を活かして、生産・マーケティング・組合運営の改善に取り組みたい」との声が聞かれました。またDong Cao農協が生産している大根にYen Phu農協が関心を示し、今後の連携の可能性も生まれました。
 
先進農協の視察は、経験共有を通じて、対象農協の生産・経営能力の向上につながるだけでなく、先進農協とのネットワークがその後の取引や技術向上に発展するなど、副次的な効果も期待されます。今後もPPMUが主体となり、このような活動を継続してくれることが望まれます。
ビニールハウスの建設方法の説明を聞く参加者
温度センサー付きビニールハウスを見学
種苗用のビニールハウスを見学
参加者間の意見交換の様子