TOT研修を開始しました(2025年5月22―23日)
バクニン省において「安全作物の生産と市場開拓に関するViet SHEPアプローチ」をテーマに2日間のTOT研修(Training of Trainers)を実施しました。研修には対象省・市のPPMU(Provincial Project Management Unit)、郡・コミューンレベルの農業普及員、農協メンバーの代表など計50名が参加しました。農協メンバーの多くは野菜・果物を栽培しており、PPMUからの案内により初めての研修参加となりました。
研修初日はViet SHEPに関する講義から始まり、参加者はViet SHEPのコンセプトとステップ(1.農協・農家と目的共有、2.市場調査による現状把握、3.農協・農家による意思決定、4.農協・農家による技術習得、5.実施活動の振り返りと評価)、市場調査の実施方法、マーケティング技術などを学びました。講義中は参加者による意見や事例共有など活発な議論が行われ、講義時間外においても生産者間の連絡先交換や視察の計画が立てられるなど、広範囲のネットワーク作りに繋がりました。
栽培技術に関する講義では、コンポストや太陽熱土壌消毒などの土壌管理、品種改良のための接ぎ木、収穫時期調整のための枝の剪定方法など、生産者が市場ニーズに応えるための実践的技術を紹介しました。参加者からは、新技術に関する多くの質問が挙げられるとともに、収穫後の保存・輸送に関する技術やハイテク技術など先進的な栽培手法を学びたいなどの声も寄せられました。
GAP・食品安全に関する講義では、GAP基準に基づく農薬・病害虫管理、農協内部監査、記帳によるトレーサビリティ確保についての講義のほか、共同出荷体制の構築や生産計画(営農栽培計画)の策定など農協運営にかかる幅広いトピックを紹介し、質疑応答や意見交換が行われました。
2日目の午後は、あいにくの天候不良のため圃場での実地研修を行うことが出来ませんでしたが、参加者はバクニン省のLien Ap安全野菜・果樹生産共同組合(プロジェクトの第2バッチで選ばれた対象農協)を訪れ、農協の代表者から農協の概要、プロジェクト活動の成果、特に市場調査の経験と重要性に関する説明を受けました。
その後、参加者は3つのグループに分かれ、招待されたバイヤー(工業団地の食堂、学校、スーパーマーケットへ農産物を卸す仲買人)とのインタビューの実践練習を行いました。
今回の研修では、新たな栽培技術の習得、ネットワーク構築、市場調査実施のポイントなど、多くの学びがあり、これまで行ってきた栽培活動を効果的かつ価値を見出して取り組めるよう見直す「きっかけ」となりました。今後も対象農家は、PPMUのサポートのもと活動を継続していきます。また、各省・市のPPMUは、農業普及員や新しい農家グループを対象としたTOT研修の開催を計画しています。
Viet SHEPの講義
参加者との質疑・意見交換
GAP・食品安全に関する講義
果樹栽培技術に関して参加者からの質問
バイヤーへのインタビュー
聞き取り情報をメモする参加者