容器リサイクルデポジット制度(CDL)構築に向けた大洋州地域の協働ワークショップ(2025年5月)
J-PRISM3専門家チームは2025年5月21日にオンラインとオンサイトを合わせたハイブリッド形式で大洋州における容器リサイクルデポジット制度(CDL:Container Deposit Legislation)に関するワークショップを開催しました。
これまで、J-PRISMでは、大洋州において3R+リターン活動の推進をプロジェクト開始当初から継続して行ってきており、いくつかの国において、その活動を支援する仕組みとしてCDL制度の構築にも取り組んできました。その結果、パラオ、マーシャル諸島、ミクロネシア連邦ではCDL制度が構築・運用され、これまで多くの使用済み容器が回収される一方で、現在、フィジー、サモア、ソロモン諸島、トンガ、バヌアツといった国々では、CDL導入が検討されています。今回のハイブリッド形式のワークショップは、そのような状況のなか、先を進んでいるCDL導入国がその経験と現況を紹介することにより、現在CDL導入検討中の国々の参考となり、後押しとなることを目的に試験的に開催したものであり、今後、プロジェクトの中でシリーズ化も視野に入れているものです。
ワークショップは、フィジーの第2回合同調整委員会の終了後、スバ市民センターで開催され、フィジーの地方行政省(MLG)、環境気候変動省(MECC)のほか、地方行政の関係者も参加するなか、オンラインでは、CDL導入を検討しているサモア、トンガ、バヌアツの関係者を含め40人を超える参加がありました。
ワークショップでは、J-PRISM3専門家チームからJ-PRISMフェーズ2で作成された「CDS政策立案者のためのガイドブック」について紹介がありました。続いて、MECCより現在のフィジーにおけるCDL検討の状況について説明があり、2011年頃の検討を引き継ぐ形で、今後、コンサルタントを活用してフィージビリティスタディを実施し、飲料容器のデポジット基金の設立と適正なリサイクル料金について検討を行うという報告がありました。次に、今回のワークショップの発案者であり、以前CDL開始時にマーシャル諸島にボランティアとして派遣され、現在、フィジーのスバ市でボランティアとして働いている青年海外協力隊 (JOCV) からマーシャル諸島マジュロでのCDL導入時の経験について発表があり、構想を運用に移す上での様々な工夫について説明がありました。最後にJ-PRISM3専門家チーム及びミクロネシア連邦のKosrae Island Resource Management Authority (KIRMA)から最新のCDLの近況報告があり、これまで一度も輸出できずに滞留していたPETボトルについて、海上輸送費をKIRMAが負担することにより、パイロットプロジェクトとして、初めて台湾への輸出が実現したとの報告がありました。PETボトルの滞留は、CDLを運用中のマーシャル諸島やミクロネシア諸島でも課題となっており、コスラエ州のパイロットプロジェクトは、他国・州での今後の取組の参考となることが期待されます。
J-PRISM3としては、今後も大洋州における3R+リターン活動を推進していく方針であり、2027年には第2回地域ワークショップのテーマとして3R+リターンを取り上げ、持続可能なシステムの構築を支援していく予定です。
ワークショップ会場の様子
J-PRISM3専門家によるCDSガイドの紹介
MECCによるCDRの現況紹介
JOCVによるCDL導入時の経験紹介
マイクロネシアにおけるCDLの現況紹介