コンゴ民主共和国の狂犬病調査(オーカタンガ州ルブンバシでの検体採取)

2021年12月6日

狂犬病は世界中に広く存在し、コンゴ民主共和国でも犬の咬傷によるヒト症例が報告されており、2021年には現在までに6名の死亡が確認されています。しかし、国内の狂犬病に関する情報は限られています。特に農村地域において調査が進んでおらず、野生動物との関連性も解明されていません。また国土が日本の6倍という広さであるのに対し、狂犬病の診断が可能な機関はキンシャサにある国立生物医学研究所(INRB)と中央獣医学研究所(LABOVET)のみです。

このような状況の中、国内で流行している狂犬病ウイルスについて明らかにするために、プロジェクトのカウンターパートの一人で、今年北海道大学で博士課程を取得したLABOVETの職員であるDr TWABELA Augustinが中心となり、オーカタンガ州ルブンバシ市でのパイロット調査を開始しました。ルブンバシ市では犬食は禁止されていますが、実際には犬食が行われています。一方で、犬における狂犬病ウイルスの保有状況が不明であり、犬を処理する際に噛まれた場合など、人々が狂犬病ウイルスに感染するリスクを評価する必要があります。

調査ではルブンバシ獣医学研究所の職員とルブンバシ大学の獣医師の計8名が、チームに分かれて市内4地域に出向き犬検体を採取するほか、原因不明で死亡した犬猫からも検体採取を計画しています。

調査に先立って11月9日~12日の4日間、Dr TWABELAは上記8名と一緒に犬食文化のある地域のフィールド調査を実施し、住民に調査内容について説明するとともに、調査協力を依頼しました。また検体採取方法についての実習も行われ、11月下旬より3か月間にわたって検体採取が定期的に行われる予定です。

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計画内容の確認をする参加者たち

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北海道大学帰国留学生のDr TWABELA

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検体採取のための実習

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調査参加者

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犬肉は早朝に処理され、朝に食することが多いとの住民説明