23.ウイルスと宿主の非情な関係(病理対策チーム・鵜家研究員始動!)

2016年6月28日

ウイルスは目に見えないくらい小さく、その遺伝子も微生物よりずっと単純なので、多くのウイルスは一種類の宿主にしか感染できません。例えば、あるウイルスは「魚」の中でも特に「鯉(コイ)」という種類にしか感染できないのです。逆に言うと、このウイルスを使えば「コイ」という特定の魚をピンポイント攻撃できることになります。そして実際、これを利用した取り組みがオーストラリアで始まりました。天敵不在で大繁殖し、固有種を絶滅の危険にさらす外来コイを撲滅するため、「コイヘルペスウイルス」を散布するというのです。「政府がウイルスをバラまく」だなんてゾッとしますが、同ウイルスは、コイのえらや腎臓の機能を破壊するだけで、他の魚や人体にはまったく無害だそうです。ベトナムの植物防疫研究所に着任した病理対策チームの鵜家綾香研究員は、こうしたウイルスをはじめとする植物の病害対策を練ります。

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東京大学鵜家さんベトナム植物病理研究所で活動開始

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カウンターパートのランアインさん(向かって右)は、神戸大で博士号を取得した日本通

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後方、左から、ベトナム国立農大のフイ博士、植物防疫研究所ヴィ博士、同副所長ホアット博士