41.病理対策チーム、ベトナム中部高原(ザーライ省)を調査

2016年8月16日

カンボジアでの調査を終えた病理対策チームはベトナム中部高原ザーライ省に向かいました。ちょうどカンボジアの調査地と国境を接して反対側に当る箇所です。幸いにして、カンボジア側からのウイルス病の伝播は確認できませんでしたが、一方で、ファイトプラズマ(注1)が原因と考えられるてんぐ巣病(注2)の初期症状と考えられる株が発見され、これを採集することが出来ました。この時期は害虫がほとんど発生していないので、害虫による被害との類別が比較的容易であると考えられます。

(注1)ファイトプラズマ
1967年にマイコプラズマ様微生物(mycoplasma-like organism,MLO)として世界に先駆け日本で発見された重要な植物病原細菌のグループ(Phytoplasma属細菌)。1,000種以上の植物に感染し、感染した植物は黄化病や萎縮病、てんぐ巣病、(花の)葉化病など特徴的な症状を発症し、最終的には枯死する。

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感染した植物細胞内のファイトプラズマ粒子(電子顕微鏡写真©東京大学植物病院)

(注2)てんぐ巣病
ファイトプラズマが原因と考えられる病害(昆虫が媒介するとされるが、媒介昆虫は未確認。その他の病原又は生理的原因で生じる可能性もある)。短い葉柄の小葉が異常密生し奇形を起こし、高い木の上に巣が出来た様な病徴を示す。でん粉含有量を大幅に減らす。「魔女のほうき」に似ているため英語ではこの名(Witches’ Broom)で、日本語では「てんぐの巣」と呼ばれる。

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てんぐ巣病罹病株(左)と健全株(右)©ベトナム植物防疫研究所

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カンボジアとの国境地帯へ向かう病理対策チーム

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ザーライ省のてんぐ巣病罹病株(左側の小さな株)と健常株(右)