47.4,000倍への挑戦!その5(フンロック農業研究センタースタッフへの組織培養研修@AGI)

2016年9月12日

キャッサバは1mほどの茎(写真1)を25cmくらいに切り分けて地面に挿すと根や芽が出て大きくなります(写真2)。これはよく考えたらスゴイことです。失った手足が生えてくるようなものですし、逆に言うと、千切れた手足から頭や体が再生されるようなものだからです。動物ではヒドラやプラナリアがこうした能力に優れ、条件が整えば200分の1の断片からでも完全に再生するといいます。このように、植物は、タネからばかりでなく、根・茎・葉など栄養器官(の断片)からも繁殖できるのです。それは植物の細胞がいわゆる「万能細胞」であることによります。でも、タネも出来るのなら、なぜタネから育てないのでしょう?それは、キャッサバのタネは出来るけれども量が少ないこと、また、タネから育てるとイモの成長に時間がかかること(一刻も早く収穫したい農家のニーズにそぐわない)、更には、交配してタネから育てた個体は、遺伝子交換により、親とは違う形質に変わってしまうという理由によります。こうした栄養繁殖(Vegetative Propagation)はコツをつかむと更に効率よくできます。そこで、フンロック農業研究センター研究員向けに、そのための研修を始めました。

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写真1 キャッサバの茎

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写真2 地面に挿し木された苗≒茎を25cmほどに切り分けたもの

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研修中のHLARCミンさん(左)とAGIで彼を指導するハインさん

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細胞分裂が著しく無菌状態が保てる頂端分裂組織を探り当てる訓練