68.タイ農業局長との意見交換

2016年11月22日

世界のキャッサバ生産量は、半分以上がアフリカ、残りをアジアとアメリカが分け合う図式ですが、輸出量はタイだけで世界の8割を占めます。つまり、タイにとってキャッサバの市場価格は大きな経済的・政治的インパクト要因です。そして目下、アジアのキャッサバ市場は、中国のトウモロコシ政策(No.24ご参照)転換後、初の収穫期を迎えつつあります。そこでタイ政府は、キャッサバ価格の安定化のため、次々と支援策を打ち始めました。第一の矢は、期間限定でタピオカ製品の最低輸出価格を設定すること。第二の矢は、輸出業者に最低限の在庫保持を義務付けること(市場への供給量を抑え、値崩れを抑える狙いです)。そして第三の矢は、収穫時期を遅らせることへのインセンティブを生産農家に与えること(収穫時期を分散させて市場への供給量を減らすのが狙いです)、更には、エタノール製造業者にキャッサバの最低買い取り価格を求めたり、飼料原料としてキャッサバと競合する小麦の輸入を制限したりと、その活躍は、まさに八面六臂の阿修羅のごとしです。

【画像】

2016年に就任したタイ農林水産省農業局のスウィット新農業局長

【画像】

スウィット新農業局長にプロジェクト進捗を報告しキャッサバをとりまく環境について意見交換する九州大学高須先生(右)と井芹業務調整員